■負け組/マツダ:純利益はマイナス316億円になるも従来予想の500億円を下回る
マツダの純利益は316億円の赤字で、販売台数は128万7000台であった。2015年度の販売台数は153万4000台だったから、5年前に比べて16%ほど減少している。
マツダの商品開発では、各国共通の車種が多く、CX-5、CX-8、マツダ3などがその代表だ。これらの車種は魂動デザインで仕上げられ、各車種とも持ち味を共通化することで、マツダ車の特徴を分かりやすく訴求している。
ただし、その一方で商品開発が硬直化している印象もあり、国内での売れ行きは、コロナ禍の前から伸び悩み傾向をみせていた。
そこでマツダ車に新しい流れを築くべく企画されたのがMX-30だ。ハイブリッドと電気自動車のパワートレーンも新しいが、MX-30の柔和な内外装は、スポーツ路線の従来型とは区分され、今後のマツダ車で新しいシリーズを構築する。
マツダの今後はその成果と、トヨタとの業務提携に掛かっているのは明白だが、最も気になるには新しい直6エンジン+FR車だろう。
マツダは、2019年5月9日の決算報告会見の場で、今後の商品開発の展開として、直6エンジン、FRプラットフォームを正式に発表した。このなかで「Largeアーキテクチャー=Dセグメントを想定したラージプラットフォーム」は縦置きエンジン後輪駆動(FR)で開発することを示唆している。
エンジンは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用した新開発の直6スカイアクティブXを搭載。さらに48V電装システムを使ったマイルドハイブリッドを用意し、プラグインハイブリッドへの展開も視野に入れている。
そして2020年11月9日に発表された「マツダの中期経営計画見直し」のなかで、初めて縦置き直6エンジン/縦置き直4エンジンとプラグインハイブリッド、マルチ電動化技術の写真を公表した。
つまり、上記に挙げた現在開発中のクルマはズバリ、マツダ6(旧アテンザ)後継車となるのは明白だ。この直6エンジン、排気量は3Lになるというのが周知の事実で、現在マツダ3とCX-30に搭載されているSPCCI(火花点火制御圧縮着火)の直4、2L、スカイアクティブXに2気筒をプラスするものとなる。
これにスーパーチャージャーを加えた48Vのマイルドハイブリッド(直4、2Lは24V)となり、最高出力は300ps、最大トルクは35.0kgmを超えるスペックになると予想される。
この新型マツダ6は2022年3月頃のデビューが濃厚。これと前後して、次期CX-5のデビューも待たれる。
■負け組/三菱:純利益は3223億円の赤字で主力のアセアン含め全体的に回復みられず
三菱の2020年度純利器は3123億円の赤字になった。販売台数は80万1000台だ。2015年度は104万8000台だったから、5年前に比べて24%減った。
三菱にとって今は商品を入れ替える時期で、セダンは廃止され、RVRも設計が古い。新型アウトランダーは披露された直後だから、好調に売れる商品が少ない。そこにコロナ禍のマイナスも加わった。
しかし、明るいニュースもある。2021年度黒字化を目指すうえで、中期経営計画の1つとして、当初2022年度日本導入を計画していた新型アウトランダーPHEVを2021年度に前倒しして導入することがアナウンスされた。
さらに、同社のモータースポーツブランド、ラリーアートの復活を明言。まずは純正アクセサリーの販売から展開していき、将来的にはモータースポーツへの参戦についても検討しているという。
今後は日産やルノーとの提携に基づいたSUVや電気自動車の充実が期待される。提携関係を生かして合理化を図りながら、いかに三菱らしいスポーツ心を持ったクルマを投入するか、そこも成否を分ける鍵になるだろう。
つまりほかのメーカーとは違う、三菱ならではのクルマ造りが求められている。デリカD:5の販売規模は小さいが、三菱独自の商品だから、発売から14年を経た今でも堅調に売れている。三菱にとって、デリカD:5のような商品を開発することが一番大切だ。
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