空気圧は厳密に決まっている訳じゃない!? 調整できる範囲は?
ちなみに、タイヤの空気圧設定は厳密に決まっているものではありません。先に最大荷重負荷能力の話に触れましたが、自動車メーカーがそのクルマのタイヤを決める場合には車格も加味されるようですが、基本的にはそのクルマの車重に少し余裕を持たせた最大負荷能力のタイヤを選びます。
そして、テストドライバーは、空気圧の調整範囲で空気圧を調整しながら、そのクルマのキャラクターにあった乗り心地や操縦性となる空気圧を決めます。つまり空気圧はある程度調整する余裕があるともいえるわけです。
では、どのくらい空気を入れたり抜いたらいいのでしょう? 筆者がお薦めできるのはプラスマイナス0.2キロくらいです。タイヤ側面にも書かれていますが、最大許容空気圧は3.5キロの設定で、そのくらいまでは入れてもバーストしないように作られています。ただし、それでまともに走れるかどうかは別問題です。
タイヤの空気をどんどん充填してき、空気圧が3.0キロを超えると、トレッドの中央がせりあがってきます。こうなるとタイヤの接地面積が少なくなってしまい、安定感がなくなってしまいます。走っていて爪先立った不安定な感じが強く出たり、実際にレーンチェンジでのおさまりが悪くふらつく動きがみられます。
また、空気圧を入れ過ぎるとタイヤの内圧が高くなり剛性が上がるので乗り心地も悪くなります。コツコツとちょっととがった感じの硬さが表れることが多いです。
では、空気圧を低くするとどうなるのでしょう。空気圧を低くすると、乗り心地はマイルドになります。ゴツゴツ、コツコツしていたショックの角が丸くなっていきます。ただ、空気圧を低くするのはおよそ1割程度。空気圧にして0.2キロくらいにとどめておくことをお勧めします。
例えば、空気圧を0.5キロ低くすると、転がり抵抗が明らかに大きくなります。渋滞路だと燃費の低下はそれほど大きくなく、あまり気づかないかもしれませんが、郊外路や高速道路になると、20km/Lくらい走るクルマだと0.3キロ前後変わってくることがあります。クルマが前に進むのに抵抗が大きくなった感覚があり、アクセルの踏み込み力も気持ち多めになります。
これはタイヤの変形量が大きくなりエネルギーロスも大きくなるからです。
ほんの「僅か」で変わる燃費と乗り心地
空気圧を低くすると、もうひとつ危険なことがあります。「スタンディングウエーブ現象」が起きやすくなり、タイヤがバーストする危険性が高くなること。これは、高速走行中にタイヤ接地面の後ろ側に文字通り波のような変形が起こり、タイヤが壊れてしまう現象です。
多少空気を抜いたくらいでは起こりまませんが、空気圧チェックを怠り空気圧が大幅に低くなっていると危険性が高まります。
というわけで、空気圧の調整は、燃費や乗り心地にかなり有効な調整なんです。調整幅の目安は空気圧を上げるほうは最大0.2キロくらいがお勧めです。これで高速道路だと0.05~0.1km/Lくらい燃費向上が期待できます(必ずではありませんが)。
空気圧を下げるほうは、0.1キロ低くするだけで案外マイルドな乗り味が出てきます。
なんだその程度か、と思われるかもしれませんが、そのわずかの調整で、案外燃費の乗り心地が変わるんです。本当かな? と疑いをぬぐえない人も、簡単な作業なので一度試してみてはいかがでしょうか。
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