「逆走車アリ!」 トラックドライバーが体験した恐怖の瞬間

■4回遭遇した逆走車はいずれも高齢ドライバー 免許証の返納問題を考える

運転の可否を自分で判断することは大切だ。ちなみに運転免許の自主返納は各都道府県の運転免許センターや警察署で行なえる
運転の可否を自分で判断することは大切だ。ちなみに運転免許の自主返納は各都道府県の運転免許センターや警察署で行なえる

続いて、大型トラックに乗っているベテランドライバーの菊地さんの話です。

 私の30年以上に及ぶドライバー人生の中で、逆走車と4回遭遇しました。いずれのドライバーも見た目の判断ですが70歳以上の老人でした。

 トラックの運転席からは対向車の運転手の顔がよく見えますが、彼らは不思議なほどパニックを起こしていません。何が起きているのか気付いていないようでした。もしも私が追い越し車線を走行していれば、逆にクラクションを鳴らされたかもしれない雰囲気なんです。

 最近、近所の整体に通っているのですが、同じく通ってくる老婦人が免許を返納した話をしていました。

 彼女は10代の頃から自動車の運転が大好きで、できれば死ぬまで自分で運転をして遊びに行きたいのだけれども、70歳を過ぎたあたりから小さな接触事故を起こすことが増え、人を殺す前にやめなくちゃダメだなと判断し、運転をやめたそうです。

 ポイントはここですよね。判断できるうちに決めるということです。しかし、自分が運転に相応しくないと判断できる人が少ないのが現実です。

 たぶん逆走をしてしまう人は、その辺の意識が既に失われている状況にあるのではないでしょうか。つまり、判断能力をなくしているのだと思われます。家族にやめてと言われても、危険を省みず運転を続けるでしょうね。

■なぜ被害者なのに被疑者扱い? 先輩が遭遇した逆走事故のてん末と理不尽

こちらは高齢者ドライバーによる逆走事故が起きた侵入口、横浜横須賀道路の浦賀インターチェンジ。下り口の右左折レーンはガードレールで分割されているのに対し、乗り口と下り口の右折レーンは対面通行となっていることも勘違いしやすい要因
こちらは高齢者ドライバーによる逆走事故が起きた侵入口、横浜横須賀道路の浦賀インターチェンジ。下り口の右左折レーンはガードレールで分割されているのに対し、乗り口と下り口の右折レーンは対面通行となっていることも勘違いしやすい要因

 ボルボでトレーラを牽引しているマユさんの話も興味深い。

 高速道路での逆走事故、私の先輩が最近被害に遭いました。深夜、高速道路の右車線を走行中、前を走っていたトラックが急に左に避けたそうです。その瞬間、なんと正面から乗用車が! 先輩はいきなりの事態に、「あっ!」と言う間も無く正面衝突!

 救助のために相手(乗用車)のほうに行こうとしてもドアが開かず、緊急事態なので後続車に知らせなきゃいけないのに、自分が脱出できない。とても怖かったと思います。間もなくしてレスキューに救助されたものの、相手方は意識不明の重体。先輩は軽い怪我で済みました。

 しかし、ここからが私たち運転手からするととても納得いかない話なんです。その後病院などを経て、警察署へ事情聴取に……。なんと先輩は、被疑者扱いになっていたんです!

 なぜかというと、相手方が重体だからとのこと。それからはまるで犯人扱い。ポケットの中身は全部出し、身体チェック、警察署から出るには身元引受人がいるといった、とても納得のいく内容ではないのです。

 その日の仕事には行けなくなり、トラックはぐちゃぐちゃで修理するまで仕事はできない。事故はお互い何の得にもなりません。

 いろんな道を走っていると、逆走防止のためなのか、必要以上に看板があったりします。正直、余計にややこしくて間違いそうになります! 走行中の判断なので簡潔にしてくれないかなぁっていつも思います。

 逆に、「これはわかりやすいなぁ~」って思ったのは、分岐点での地面の色分け。事前に看板があり、道路も色分けされているので、行き先によってその色の上を走ればいいのです。走行中の判断なので、簡潔さが大事なんじゃないかなと思います。

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