■より広い視野でBEV普及をチャンスに
BEVは“未来のクルマ”的な印象とまではいかなくても、日本国内ではまだまだ“特別なクルマ”という印象が世の中では強い。よくわからないだけでなく、車両価格もまだまだ高い。そのような“未知”なものを現場のセールスマンに半ば普及を丸投げするようなことだけはやめて欲しい。
EUは2035年にHEVやPHEVすら新車での販売禁止を表明した。そのなか、日本政府が車両電動化に際し「HEVで帳尻合わせすればいい」と考えているのならば、世界の笑いものになるだけでなく、日本の自動車産業のプレゼンスを大きく下げることにもなるだろう。
車両電動化で圧倒的に出遅れている日本は、このままならどんどん追い詰められるばかりとなるだろう。まさにゲームチェンジャーの思うつぼである。車両電動化というのは、各国の政治力も試されているものと考えている。もし、ここでBEV普及へ大きく舵を切ることができれば、日本は世界で再評価されていくのは間違いないだろう。
そもそも論になるが、日本の発電施設の多くは化石燃料を使用しているので、このまま車両電動化を進めても出口が異なるだけで、CO2排出が続くことになる。
ビニール袋でのゴミ出しをやめないのに、レジ袋の無料配布が原則禁止となった。そのためゴミ捨て用にビニール袋を買う人が増えたといった話と似ている。ことは単純に充電施設増やして、電動車増やせばいいという話ではないのである。
風力や地熱、太陽光など自然エネルギーへのシフトが叫ばれているが、それだけではとても賄えないし、発電コストも上昇し、電気代の高騰を招きかねない。とはいっても原子力発電は再稼働も含め、遅々として問題解決が進まない、高度な政治問題化となってしまっている。
政府がどれだけグランドデザインを描けるかにかかっているのだが、残念ながら現状では、いまの政府に創造力がそこまで豊かなようには見えない。ことは自動車メーカーに丸投げして終わりではないのである。
カーボンニュートラル宣言をしたり、2030年にガソリン車の販売禁止を進めるのなら、それなりの環境整備を政府主導で進めるのは当たり前。一般国民にいらぬ混乱を与えることだけはこれ以上ご勘弁願いたい。
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