暦の上では立秋を過ぎていても、まだまだ暑い日が続く日本列島。この季節に注意しなければいけないのが「熱中症」だ。「クルマにはクーラーがついているから大丈夫」と油断めさるな。車内熱中症、けっこう頻繁に起こっています。ドライブ中は水分補給を欠かさずに。自分だけでなく同乗者にもご注意を。もし「これはまずい」となったときのために、本記事をご一読しておいてください。
文/照井資規(元陸上自衛隊衛生官)
写真・スライド/照井資規、Adobe Stock(アイキャッチ写真:Adobe Stock@奈津子 川上)
【画像ギャラリー】熱中症の分類から経口補水液の作り方まで! 元陸自衛生官の筆者が解説する熱中症対策をチェック!!
■車内ほど環境管理が重要
英語ではHeat can kill(熱中症は死にかねない)と注意喚起のポスターが貼られるほど熱中症は命に関わる。車体が金属製で空間が狭い自動車内は、特に環境が変化しやすいため屋内よりも注意が必要だ。一般的に、環境が身体に与える影響では、
気温が高く湿度も高い状態
気温が低く湿度も低い状態
が最も危険であるから
「高い高い、低い低いは危険」と憶えておく。
2019年の7月1日~8月18日、東京23区内で熱中症による死者数が101人となった。その90%が65歳以上の高齢者。死亡例のうち90%以上が屋内で確認されたものだ。年代別では70代が42人と最多で、次いで80代が31人。屋内で死亡していた94人のうち40人が冷房設備のある部屋にいたが、そのうち38人は冷房を使用していなかった(東京都監察医務院)。
冷房は身体に負担がかかるため、冷房を避けたがる高齢者ドライバーは多い。しかし図「SARS-CoV-2・インフルエンザウイルスの感染リスク特性」にある環境管理温・湿度計を用いて観察してみると、高齢者のほとんどが熱中症危険ゾーンの環境で過ごしていることが判る。高齢化すると暑さ、寒さの感覚が鈍化するためだ。
就寝前にエンジンを切り冷房を止め、寝ている間に車内気温が上昇、熱中症になっていることに気づかずに死亡するおそれがあるため、感覚に頼らず環境管理温・湿度計を用いて車内環境管理をすることを推奨したい。適切に温度・湿度を管理することは感染症対策の効果も大いにあるため、習慣づけることが望ましい。また、車内は家屋よりも遙かに速く暖まりやすく冷えやすいという意識に乏しいことが、子供の車内放置による死亡の主な原因となっている。
新型コロナウイルス感染症対策としての冷暖房と換気の併用については、二酸化炭素濃度測定器を用い表「二酸化炭素濃度 警告表示 基準値」を参考に換気を行う。警報音で換気のタイミングを知らせてくれるので大変便利であると共に、満員乗車の車内では意外と酸素が薄くなることに気付くようにもなる。換気不足はドライバーの脳の働きにも影響するため、コロナ禍を安全運転のための換気を意識づけるきっかけにすべきだ。
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