オペルが2022年から日本で復活! 再導入車とかつての系譜を辿る

■過去の日本でメジャーだったオペルのクルマ

 日本での販売は、古くから輸入元を変えて行われてきたが、オペル車が最も注目を集めたのは、2000年に公開されたTVドラマ「Beautiful Life~二人でいた日々~」での車両提供だろう。

 木村拓哉演じる美容師と、常盤貴子演ずる難病を患った車いすの女性との恋を描いた連続ドラマだが、車いす女性の「町田杏子」の愛車がハンドキャップ仕様となったオペルヴィータだった。

日本で1995年から2004年まで販売されたオペル ヴィータ(VITA)。海外ではコルサ(CORSA)だが日本では商標の問題で改名された
日本で1995年から2004年まで販売されたオペル ヴィータ(VITA)。海外ではコルサ(CORSA)だが日本では商標の問題で改名された

 小さく愛らしいヴィータと健気で優しい杏子の人柄のイメージが重なり、ドラマの好調はヴィータの売上貢献にも影響を与えたと聞く。世間の関心をオペルに向けるきっかけとはなったが、オペル自体の認知に繋げることはできず、これ以降のヒットには恵まれなかった。

 また異色の存在としては、オペルのミニバン「ザフィーラ」をベースとして、2001年よりスバル「トラヴィック」が販売されていたこともある。しかしながら、同時にオペルザフィーラも販売が継続されていたため、トラヴィックの存在は、輸入車らしい価格であったザフィーラの存在意義を薄めることになり、オペルブランドの販売低下に拍車をかけることに。結果的には、オペル日本撤退に大きく影響を与えたとも言われている。

オペル ザフィーラ(Zafira)。初代ザフィーラは当時GMと資本提携のあったスバルがトラビック(TRAVIQ)として2001年から日本でOEM販売していた
オペル ザフィーラ(Zafira)。初代ザフィーラは当時GMと資本提携のあったスバルがトラビック(TRAVIQ)として2001年から日本でOEM販売していた

 2017年にオペルは、オペルの姉妹ブランド「ボクスホール」とともに、GMからグループPSA傘下に収まった。その後、新経営戦略「PACE! 」が策定され、再び世界に名を轟かせるオペルとなるべく、積極的な世界進出を描いた。現在、世界60か国に展開しているが、2022年までには、新たに20以上の市場を開拓するとしている。そのなかに日本への再進出が含まれていたのだ。

■日本復活第一弾に予定されているのは三車種

 今回の発表では、日本導入を予定している車種についても情報がアップデートされた。2020年の発表時では、コンパクトハッチ「コルサ」、スライドドア付きMPV「コンボ ライフ」、コンパクトSUV「グランドランドX」の3車種としていた。しかし、最新の発表では、「コルサ」、「モッカ」、「グランドランド」の3車種に改められている。

2019年に欧州で発売された新型『コルサ』。プジョー208やDS3クロスバックと同じEMP1プラットフォームを採用する
2019年に欧州で発売された新型『コルサ』。プジョー208やDS3クロスバックと同じEMP1プラットフォームを採用する
2020年に発表された新型の2代目モッカ(MOKKA)。デザインのベースにコンセプトカー「オペルGT Xエクスペリメンタル」を採用し、次世代のブランドアイデンティティと先進性を表現する
2020年に発表された新型の2代目モッカ(MOKKA)。デザインのベースにコンセプトカー「オペルGT Xエクスペリメンタル」を採用し、次世代のブランドアイデンティティと先進性を表現する
2021年に改良されたCセグSUVの新型グランドランド(GRANDLAND)。このクルマをオペルでは「フラッグシップSUV」と位置付けている
2021年に改良されたCセグSUVの新型グランドランド(GRANDLAND)。このクルマをオペルでは「フラッグシップSUV」と位置付けている

 コルサは、Bセグメントのコンパクトハッチバックで、かつて日本では「ヴィータ」として販売された。最新世代は、2019年に発売されたシックなデザインの5ドアハッチバックで、日本にはガソリン仕様とEV仕様のふたつのパワートレーンを導入する予定だ。

 ガソリン仕様は、最高出力100psの1.2L 3気筒ターボエンジンにパドル付き8速ATを組み合わせる。EVとなる「eコルサ」は、50kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。最高出力136ps、最大トルク260Nmを発揮する。これらの性能からもわかるように、メカニズムとプラットフォームはプジョー208などと共有している。

 モッカは、BセグメントのコンパクトSUVで、最新世代となる2代目は2020年に登場。オペルの新デザインコンセプト「BOLD&PURE」を初採用したスタイリッシュなSUVだ。コックピットもディスプレイメーターを中心とした先進的なデザインで、スペシャルティな色合いも強いモデルだ。

 日本仕様には、1.2L 3気筒ターボと8速ATの組み合わせが予告されている。ボディサイズは、全長4151mm×全幅1790mm×全高1523mm(欧州値)なので、日本の道路でも扱いやすいサイズのようだ。

 グランドランドは、CセグメントのコンパクトSUVだ。当初、日本導入モデルは「グランドランドX」だったが、このモデルが2021年の改良型で、名称を改めたものだ。グランドランドXは、2016年に発売されたものだが、当時、グループPSAとの協業が進められていたため、プラットフォームは、EMP2をベースに開発されている。

 パワーユニットは、最高出力130psの1.5L 4気筒クリーンディーゼルターボを搭載。現時点ではオペルのフラッグシップモデルとなるが、ボディサイズは、全長4480mm×全幅1840mm×全高1615mmと程よいサイズとなっている。

 当初予定されていた「コンボ ライフ」は、「シトロエンベルランゴ」と「プジョーリフター」の姉妹車となるモデル。候補に挙がったことからも、将来的には導入の可能性は高いと見られるが、スタート時は、日本市場で世界的なブームが続くSUVを中心としたモデルラインとすることで、オペルを訴求させることを目的としているのだろう。

次ページは : ■16年ぶりの復活に期待!

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