■全幅が違うと、運転するとどのように車幅感覚が違ってくるのか?
このような全幅の拡大に基づく車幅感覚の違いは、いかなる理由によって生じるのか。全幅が1695mmの5ナンバー車、1750mm前後の3ナンバー車、さらにワイドな1850mm前後の車種で比べてみたい。
運転席に座って前方を見ると、以前はボンネットがしっかりと見える車種が多かったが、最近は見える範囲が全般的に狭まった。例えばカローラのセダンやワゴンのツーリングでは、ボンネットは手前の一部しか見えない。ミニバンになると、ボンネットが視野に入る車種はほとんどない。つまりボンネットの見え方だけが、車幅感覚に影響を与えるわけではない。
それでは何が車幅感覚に関係するかといえば、左右のフロントピラー(フロントウインドウの窓枠部分)の見え方がある。
全幅が1695mmに収まる5ナンバー車は、前方を見ている時でも、視野にピラーが入っている。右ハンドル車の場合、ドライバーから遠い左側のピラーも無意識に見えている。運転中にピラーは意識しないが、車幅を把握する上で、目安になっているわけだ。
それが全幅を1750mm前後に設定した3ナンバー車になると、左側のピラーが視野の左方向へ遠ざかる。5ナンバー車では、左右のピラー間隔が自分の肩幅に近い感覚なのに、3ナンバー車になるとピッタリした印象が少し下がる。
全幅が1800mmを超えると、左側のピラーが一層見えにくくなってしまう。全幅のワイド化は、物理的な通行のしやすさに加えて、ドライバーの運転感覚にも大きな影響を与える。
現実的な車幅を示す言葉として、ミラー・トゥ・ミラーがある。ボディではなく、ドアミラーの外側で測った全幅で、狭い道での通りやすさはミラー・トゥ・ミラーで左右される。
そこで例えば現行インプレッサは、先代型と比べて全幅は35mm広い1775mmになったが、ミラー・トゥ・ミラーは広げていない。ドアミラーの形状や取り付け位置を工夫して、全幅をワイド化しながら、ドアミラー部分の拡大は先代型と同じに抑えた。
ミラー・トゥ・ミラーを抑えたクルマを運転すると、狭い道や駐車場での使い勝手は、全幅の割に優れている。しかし通常の車幅感覚は、ミラー・トゥ・ミラーではなく、全幅の数値に基づくように感じる。真っ直ぐに走っている時の「人馬一体」は、車両の全幅とピラーの位置関係で決まる。
そうなるとピラーの見え方や取りまわし性、運転のしやすさを基準に全幅を判断すると、ベストはやはり1700mm以下の5ナンバー車だ。
しかし最近は側面衝突時の安全確保などの必要から、5ナンバーサイズに収めるのが難しい。5ナンバーサイズだと、ボディ底面の骨格が干渉して前輪の最大舵角が減り、3ナンバー車よりも最小回転半径が拡大する場合もある。
こういった事情から3ナンバー車に拡大するとしても、1750mm程度に抑えるのが好ましい。例えばカローラの場合、スポーツ(5ドアハッチバック)の全幅は1790mmだが、日本向けに開発されたセダンとワゴンのツーリングは1745mmだ。
この点について、カローラの開発者は以下のように話している。
「従来の日本仕様のカローラは、基本的に5ナンバーサイズを守ってきた。しかし現行型は、走行安定性や乗り心地などを向上させるため、海外仕様とプラットフォームを共通化して、3ナンバー車に拡大させている。それでも全幅はなるべく抑えたい。
そこで販売の主力になるセダンとツーリングは1745mmとした。3代目のプリウスは、2代目に比べて全幅を拡大しながら、1745mmに設定して好調に売れた実績がある。そこでカローラも、1745mmまでなら、日本の市場でも許容されると考えた」。1745mmの全幅は、運転感覚や取りまわし性を悪化させない限界的な数値でもあるのだろう。
コメント
コメントの使い方全幅に関していえば
自分の車は慣れる。
対向車や路駐に幅は気になる。
東南アジアあたりでは、未だ5ナンバーセダンの新型日本車販売しているので、市場規模が小さい?がわからない。
インド車なら、右ハンドル、少しの改造で輸入できそう。
どうなんでしょうか?
そもそも横幅1800ミリなんてトヨタの自主規制にほかならず、そんなの無視して外国車がカッコいいと言ってきたのが自動車ジャーナリストだろう。ぼくの持ってる昔読んだクラウンの評論では「(クラウンの横幅は)日本中の道路を調べて決めましただって、そんなの関係ねぇだろ!」ってそう言ってきたんだよ。人が真面目に検討してきたのにさ。
トヨタがケシカラン・日本の国土・道路は狭い・駐車場もである・で無意味なデカい車は周りが迷惑である・ランドクルザー等々日本では売るな・米友人が日本の駐車スペースは軽が当てはまると。
確かに全幅が広いと車両感覚が薄れる、かもしれないけど、1850mmと1800mmの車にほぼ違いなんて感じない。運転してみればすぐわかる。なぜなら、車両が大きかろうが小さかろうが道の真ん中を堂々と走ってくるし、交差点では通り過ぎてくれるのをバカづらさげて待ってるじゃん。そうなったら全幅は2000mm超えても問題ないと思うよ。むしろ全長のほうが問題。曲がれないとか駐車できない、なんてことになるからね。
下手くそが増えて、右左折時はそっちによるとか、互いに少し避けてすれ違うとかすら出来ないのが増えたから、軽でもアルファードでも1台分塞いじゃうのは同じだ。
でも、10cm以上の差になると大きいよ。邪魔度合いが違う。下手は「相手が避ける」「ぶつかっても負けない」じゃなくて小さいのに乗ってくれ。バイクのようにサイズで免許を変えても良いくらいだ。
昔の軽自動車サイズで最新レベルの衝突安全性や快適性を実現できないメーカーは、技術力が低い。
全く同感です。私3年程前から機械式のマンションの駐車場に入る良いなと思う車が失くなったと嘆いています。
トヨタはお客様のためにと言いながら入る車はコンパクト以下、このコンパクト車がロードノイズはカローラ、新型プリウスでさえうるさくかつ見飽きるデザインにして左後方が見ずらく不安。トップクラスの安全性と謳いながらオプション、会社の姿勢が見えみえです。視界含め安全性はスバル、スズキの姿勢が好感持てます