日本車なのに日本の道に合ってない! クルマの全幅は何mm以上が運転しにくいのか?

■全幅のワイド化と国内の販売状況は根底でつながっている

ホンダの登録車の売れ筋である「フリード」も小型車枠に収まるモデルだ。コンパクトなボディに7人乗れる丁度よさが日本ではヒットする要素となる
ホンダの登録車の売れ筋である「フリード」も小型車枠に収まるモデルだ。コンパクトなボディに7人乗れる丁度よさが日本ではヒットする要素となる
ミドルサイズのミニバン「ヴォクシー」も標準車は1695mmを維持。しかし、売れ筋のエアロバージョンは1730mmと若干拡幅する。来年登場の新型はどうなるのであろうか?
ミドルサイズのミニバン「ヴォクシー」も標準車は1695mmを維持。しかし、売れ筋のエアロバージョンは1730mmと若干拡幅する。来年登場の新型はどうなるのであろうか?
セレナも同様の考え方でハイウェイスターは1740mmとなる。日本の小型車枠を目いっぱい使い切って作られたモデルのため、見た目を少し変えるだけでも普通車へサイズアップしてしまうのだ
セレナも同様の考え方でハイウェイスターは1740mmとなる。日本の小型車枠を目いっぱい使い切って作られたモデルのため、見た目を少し変えるだけでも普通車へサイズアップしてしまうのだ

 そしてもうひとつ別の要素として、全幅がワイドな車種は、概して価格が高まる事情もある。日本の平均所得は、1990年代の後半をピークに下がり、今は多少持ち直したものの、約25年前の水準には戻っていない。その一方でクルマの価格は、安全装備の充実や消費増税により、15~20年前の1.2~1.3倍に高まった。

 所得が伸び悩むと、新車に乗り替える時、予算を増額するのは難しい。今までと同じ予算では、購入できる車種が小さくなり、軽自動車やコンパクトカーの需要が増えた事情もある。

 メーカーは、この状況に合った販売戦略を立てている。そのためにセダンを中心に海外指向を強め、全幅もワイド化され、ますます売れなくなった。車種の数も減る。ホンダではN-BOXが国内で新車として売られるクルマの30%以上を占めて、軽自動車全体なら50%を超える。

 フィット、フリード、ヴェゼルまで加えると85%に達する。このような状況だから、狭山工場に閉鎖に伴い、伝統あるオデッセイを終了することになった。

 以上のように、全幅のワイド化と国内の販売状況は、根底では繋がっている。「日本は軽自動車とコンパクトカーなクルマに任せておけばいい」という判断があるから、ほかの大半のカテゴリーは、ボディがワイド化しているのだ。

 当然の成り行きともいえるが、運転の楽しいクルマがワイドになり、価格を高めていくのは寂しい。BRZや86の全幅が1775mmに収まっているのは、今では貴重で立派な見識に思えてくる。

【画像ギャラリー】日本車も全幅ブクブク?道路事情と葛藤しながら頑張っている最新のクルマたち

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