■オーバーフェンダー車といえばこのクルマ
●初代フェアレディZ 240ZG/オーバーフェンダー
印象的なオーバーフェンダー車を挙げていきたいと思う。まずはS30型フェアレディZの240ZG。1969年に登場した初代フェアレディZは「乗用車ベースの手軽なスポーツカー」というコンセプトにより、日本車では珍しい「外国車に影響を与えたモデル」の1台となった。
登場時は2シーターボディ、エンジンはそれぞれ2リッター直6となるL20型と、ハコスカとケンメリという第一世代のスカイラインGT-Rに搭載されたS20型でスタートした初代フェアレディZだったが、年々バリエーションを拡大しており、その1つがアメリカ仕様の2.4リッターL型直6を搭載した240Z系である。
240Z系はベーシックな240Z、充実した装備を持つ240Z-L、スポーティな240ZGの3グレードをラインナップし、240ZGは延長されたGノーズと呼ばれたグランドノーズ&ヘッドライトカバー、ビス止めのFRP製オーバーフェンダーも装着していた。
240ZGはオーバーフェンダーの装着により全幅が標準車の1630mmから60mm拡大されたのに伴い、タイヤは175HR14というワイドかつ当時は貴重品だったラジアルタイヤを履き、コーナリング性能を劇的に向上。
また、240Z系は最高出力こそ150馬力と432系の160馬力に及ばなかったが、走らせればトルクの太さにより432系より扱いやすいうえに速く、レースだけでなくサファリラリーなどの国際ラリーでも大活躍した。
●初代TE27型カローラレビン&スプリンタートレノ/オーバーフェンダー
カローラ&スプリンターが2代目モデルだった1972年に、それぞれの2ドアクーペのスポーツモデルとして加わったのが初代カローラレビン&スプリンタートレノである。
初代レビン&トレノはトヨタ初となるオーバーフェンダーが付くエクステリアというカローラ&スプリンターのクーペに対する差別化のほか、「カローラにパワフルなエンジンを積んだら、面白いスポーツモデル、ラリーカーのベースになる」というコンセプトが掲げられていたため、エンジンは当初当時の初代セリカに搭載されていた2T-G型1.6リッターDOHCを搭載。
初代レビン&トレノの2T-Gエンジン搭載車は軽いボディにパワフルなエンジン、クロスレシオ化された5速MTを搭載していたこともあり、じゃじゃ馬的な面白さを持つクルマだったと言われており、未だにファンは多い。
●チェリーX1-R/オーバーフェンダー
「ついに登場! 地を蹴る純血マシーン、チェリークーペ」というキャッチコピーで1973年3月にデビューしたチェリーX1-R。
その個性的なスタイルもさることながら、4.5J×13+165/70HR13タイヤを収めるために装着されたFRP製のリベット留めオーバーフェンダーにも注目が集まった。
エンジンはA12型1171㏄、直4OHVでツインキャブが装着され、80ps/9.8kgmを発生。
●コルトラリーアートバージョンR/オーバーフェンダー
2002年登場のコルトは、「カスタマーフリーチョイス」と呼ばれる内外装のカラーをはじめとした仕様をユーザーが細かく選べる点は目立ったが、それ以外はごく普通のコンパクトカーだった。
そこに2004年のマイナーチェンジで1.5リッターターボを搭載したラリーアートが加わり、ラリーアートは2006年によりスポーツ性を高めたバージョンRに進化した。
バージョンRはCVTのみだったラリーアートに対しゲトラグ製5速MTの設定に加え、まずインタークーラーのエアインテークやブラックアウトされたエアロパーツ、樹脂製オーバーフェンダーの装着によりラリーアートの1680mmから1695mmに拡幅された戦闘的なエクステリアが目を引く。
エンジン自体はラリーアートと同じながら、スポット溶接箇所を増やすことによるボディの補強、タイヤがラリーアートの185/55R15から205/45R16(銘柄はリプレイスのアドバンネオバ)にサイズアップされたことを含めたサスペンションの強化などにより、ランサーエボリューションの弟分的なところを感じるほど、バージョンRはスポーツ性を向上。
また、2008年と2010年にはボディのドア開口部に連続シームレス溶接(スポット溶接を服のボタン止めと例えるなら、連続シームレス溶接はファスナー止め)とすることでボディ剛性をさらに高めたラリーアートバージョンRスペシャルも限定車で発売された。
●メルセデス・ベンツ190E2.5-16VエボリューションII /オーバーフェンダー
オーバーフェンダーといえば通称エボII、メルセデス・ベンツ190E2.5-16VエボリューションIIを忘れるわけにはいかない。
1988年からDTMマシンの排気量が2.5Lまでとなり、2.5L、200psの190E 2.5-16が登場。このエボIをベースに、DTMのホモロゲーションモデル、190E2.5-16エボリューションIが1989年にデビュー。
その翌年の1990年にエボリューションIIが500台限定で登場。 このエボリューションIIの導入により、メルセデスは1991年~1992年と連続でマニュファクチャーズタイトルを獲得。
いわばDTMマシンの公道仕様となるが、このエボIIを都内で見た時には、とにもかくにもその過激さに驚いたものだ。
●ポルシェ993型911GT2/オーバーフェンダー
993型911GT2は、そもそもはル・マン24時間レースやFIA GT選手権のGT2クラス参戦のホモロゲーション取得のために製造されたモデル。
1995年に総生産台数197台が生産された993型911GT2には、まるで240ZGやハコスカ、ケンメリGT-Rを想わせるリベット留めのオーバーフェンダーが装着。さらにスピードライン製アルミホイールと大型のリアウイングを備えていた。
駆動方式はRRで、ストリートモデルは、ターボの408psから430psに向上した3.6Lフラット6ツインターボエンジンを搭載、1998年には450psにアップされ、レース仕様のGT2EVOモデルは600psに達した。
つい10年ほどまでは2000万円ほどで購入できたが、数年前のオークションでは1億6500万円という空前絶後の値がついて話題となった。
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