■モーターアシストの恩恵はダイレクト感を増大する
シアンでは電気モーターの出力がシフトアップ時のトルク落ちをうまくカバーするため、特にアクセルワークに気を遣わずとも不快なショックを回避できる(ストラーダモードで100km/h以下)。スムーズな加速という点でシアンは明らかにアヴェンタドールを上回っていた。
そして、何より嬉しいのは中間加速のダイレクト感と力強さが増していることだ。もとより6.5L12気筒はパワフルである。4WDであるうえに車体も軽いため加速フィールも生半可ではない。けれどもエンジン回転を上げていけばいくほど力感を得るというキャラクターが自然吸気の基本だから、どうしても相対的に中間加速を鈍く感じてしまう。シアンはそこをモーターの出力でカバーした。
だから高速走行中に軽く右足を踏みこんだだけで即座にグイッと腰から引っ張られるような加速に移る。自然吸気エンジンにはないノリのよさだ。例えば高速道路の料金所を通過して加速に移った時の瞬発力が違う。100km/hまでが凄まじく速い。それこそ宇宙の彼方でビビりそうになる。
そこからはもう大排気量自然吸気V12エンジン単体の出番で、正直、日本の高速道路では785psと初期型700psの違いなどわからない(200km/h以上の世界でははっきりと体感できるのだが!)。だから、かえって中間域をモーターでアシストするシアンを明確に速いと感じることができるのだった。
コーナリング中にノーズの存在をやや長く感じる場面もあったが、総じてダイナミックパフォーマンスはアヴェンタドールの上をいく。いやはや世界限定82人が羨ましいかぎりである。
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