クルマ好きに「クルマのどんなところが好きか」訊ねてみると、クルマを操ることの楽しさやスピード感などと共にあがるのが「エンジンの音や響き」だろう。
そんなクルマ好きからすると、最近の『カーボンニュートラル』ブームと『内燃機関販売禁止』の動きは気になるところだ。
世界のこれまでの流れとクルマのこれからの変化を、鈴木直也氏が前後編に分けてわかりやすく解説。
文/鈴木直也
写真/NISSAN、AdobeStock(トビラ写真=Jenny Sturm@AdobeStock)
■世界が取り組む温暖化対策
2000年代、地球温暖化対策は世界に浸透していった。
クルマ関連にフォーカスすると、2003年9月に発売された2代目プリウスでハイブリッドブームが巻き起こり。燃費の基準値はリッターあたり20kmを飛び越して30kmに迫る。
一方、欧州勢はダウンサイズターボとクリーンディーゼルを武器に対抗。アウトバーンではハイブリッドより高効率内燃機関の方が向いていると主張する。
また、2009年8月には日産リーフ、2012年6月にはテスラモデルSがデビュー。いよいよBEVも実用段階に突入した。
この時点では、テスラが今日のように大化けするとは誰も予想できなかったものの、自動車業界関係者は「最終的にはEVの時代が来る」という認識では一致。電池をはじめBEV関連技術の研究開発に拍車がかかる。
「気候変動に関する国連枠組条約」に関しても、締結国間のコンセンサス積み上げは着々と進み、その仕上げとして2015年にパリでCOP21を開催。これはCOP3京都議定書以来もっとも重要なラウンドで、ここで18年ぶりの国際協定となる「パリ協定」が合意される。
パリ協定では、各国が削減目標を作成し、目的を達成するための国内対策を実施する義務を負う(ただし目標達成自体は義務ではない)。
これにもとづき、例えば日本では「温室効果ガス排出量を2030年までに2013年比26%削減する」といった目標が設定された(2021年4月、菅政権のカーボンニュートラル政策によって、この数字は46%削減に引き上げられた)。
この頃までは、温暖化対策はコンセンサスを重視しつつ順当に進み、自動車業界も健全な技術競争によってCO2を削減する好循環があったと思う。
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