自動運転はいつ実現するのか? 現在地はどこか??【自律自動運転の未来 最終回】

自動運転はいつ実現するのか? 現在地はどこか??【自律自動運転の未来 最終回】

 自動運転技術の最前線を紹介する本連載。連載第25回となる本稿は、最終回となります。今回は「自動運転技術はいまどれくらいまで進んでいるのか」、そして誰もが気になる「いつごろ実現するのか」、「そのとき、手動運転はどうなるのか」について語ります。

文/西村直人
写真/AdobeStock(アイキャッチ写真7maru)、TOYOTA、ベストカーWeb編集部

シリーズ【自律自動運転の未来】で自動運転技術の「いま」を知る

■ブレーキのかかり方も進化

 本稿では短期集中連載として、乗用車、商用車、MaaS、二輪車などそれぞれの自動運転技術や運転支援技術についてレポートしてきました。

 これらの技術は直近10年間、乗り物ごと独自に昇華した一方で、乗り物の枠を越えた共通化も進みました。

 たとえばミリ波レーダーセンサーは、四輪車で普及し安価になったことからが開発コスト管理が厳しい二輪車にも搭載され、自動化レベル1の運転支援技術であるアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)機能や衝突予知警報機能、死角検知機能などが実現しました。2021年にはイタリア、ドイツの二輪車メーカーが採用し、カワサキ(日本)の二輪車にも実装される予定です。

 2021年は、自動運転社会にとって大きな出来事がありました。世界で初めて「自動運転車/自動化レベル3」を名乗れる「レジェンドHonda SENSING Elite搭載車」の発売です。これについては本連載で数回にわたりレポートしています。

2021年3月にホンダレジェンドがマイナーチェンジで「Honda SENSING Elite」装着モデルを発売。限定100台ながら、公道で自動運転車/自動化レベル3技術を使用できるモデルが発売された(残念ながらレジェンドは2021年いっぱいで販売終了するが…)
2021年3月にホンダレジェンドがマイナーチェンジで「Honda SENSING Elite」装着モデルを発売。限定100台ながら、公道で自動運転車/自動化レベル3技術を使用できるモデルが発売された(残念ながらレジェンドは2021年いっぱいで販売終了するが…)

 自動運転の要素技術を使った運転支援技術も大幅に進化しました。これは、センサーから得た情報をスムースに車両の挙動として反映させる制御技術が高度化したことで実現しています。

 加えて、制御技術の精度も格段に上がりました。ACC機能では、前走車への追従性能の向上(=遅れなく加減速する)だけでなく、隣車線からの割り込み車両や、本線への合流車両に対する滑らかな減速制御が行えるようになりました。

 これまでこうした割り込みシーンでは、前走車との車間時間と車間距離を基準にしていたことから、割り込まれるとすぐさまブレーキ制御で車間を空ける制御が主体でした。こうしたシーンで割と強めの減速度を感じたことがある読者も多いかと思います。

 それがこの5年ほどで制御精度が向上し、まずはアクセルをオフにして減速し、それでも減速が足りない場合には減速度0.1未満の緩やかなブレーキ制御を追加して割り込み車両に進路を譲ります。

 その際、割り込み車両の前走車、つまり割り込まれる前まで前走車だった車両も検知し続け、ドライバーの視界から遮られる車両の動きまでセンシングし万が一の事態に備えます。

 このように技術や制御の地道な進歩によって、運転席に座るドライバーの技量や経験によらず、あたかも熟練ドライバーが運転しているような快適な移動空間が部分的とはいえ、システムによってもたらされてきました。

 この先は、快適な移動空間をさらに安全で確実なものにするため、今度は高度化したシステムとドライバーの協調が重要になります。

 これはレベル3の自動運転車だけではなく、レベル2までの運転支援車を運転している際にも言えることで、ドライバーはシステムからの呼びかけに反応し、状況によって運転操作を引き継ぐ必要が発生します。これを本連載では「TOR」として具体例を用いて紹介してきました。

 このように自動運転車が販売され、運転支援技術もさらなる高度化を目指します。次はどんな世界が待っているのでしょうか?

次ページは : ■新型車に衝突被害軽減ブレーキ装着が義務化

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