バブル景気真っただ中の1991年に登場した、日産「フィガロ」。当時も人気があったモデルですが、30年以上たったいまも、フィガロの人気は衰えるところを知らず、当時の187万円で販売されていたフィガロが、現在中古車オークションでは、300万円を超える価格で取引される個体もあるほど、日本のみならず世界中で人気が高騰しているクルマのひとつです。
そもそも「フィガロ」は、初代マーチ(1982年発売)をベースに、レトロなデザインで登場した「日産パイクカーシリーズ」のひとつ。現代のモデルとは違い、衝突安全性の基準が低く、ドアや車体も薄っぺらなつくりではありますが、レトロでシンプルな内外装のデザインは、いま見ても斬新で新鮮な印象。そんなフィガロの魅力を振り返ります。
文:吉川賢一
写真:NISSAN、ベストカー編集部
「レトロ」をクルマデザインに取り入れた
「ノスタルジックモダン」を開発指針とする日産のパイクカーシリーズは1987年に登場した「Be-1」から始まります。1985年の東京モーターショーに参考出品されたBe-1は、当時主流だったボックスデザインではなく、丸っこいデザインと、近代的ながらもどこか懐かしい雰囲気で好評に。
これをうけ、日産はBe-1を限定生産1万台として販売を決定。発売開始直後から注文が殺到し、購入は抽選制となりました。その後、キャンバストップバージョンも登場し、こちらも即完売となります。
パイクカーシリーズ第2弾は「パオ」。こちらも、1987年の東京モーターショーに参考出品されたのち、1989年に発売されました。パオで表現されたのは、「レトロと冒険」。パオのバックドアに装備された「ガラスハッチ」は、冒険や旅気分を演出していました。
日産は、Be-1の好調をうけ、パオの販売には3ヶ月間の受注期間に予約された台数分を販売する、という販売方法をとります。パオは、この3ヶ月の間に、なんと5万台以上の受注を獲得。Be-1を上回る記録となり、最長で1年半もの納期待ちが発生しました。
欧州のクラシカルな雰囲気漂うフィガロ
そして1991年、「フィガロ」が登場します。3ドアハッチバックだったBe-1とパオとは対称的に、2+2クーペとして登場しました。
1935年のダットサンロードスターや30年代のアールデコファッションからインスピレーションを受けたというフィガロは、「ぽこっ」と出っ張った小さなキャビンがトレードマーク。ルーフは中央部がキャンバス製で出来ており、後部へ手動で格納するとオープンカーとなる、凝ったつくりとなっていました。
インテリアも、フィガロ専用設計のスイッチや本革シート、スイッチやメーター回りのメッキパーツを、アイボリーの内装がうまくまとめており、優雅でクラシカル。
用意されたボディカラーは「エメラルド」、「ペールアクア」、「ラピスグレイ」、「トパーズミスト」の4 色。ボディのところどころに配色されたシルバーメッキも、いい仕事をしていました。
フィガロは、主に女性で構成されたチームで開発されたとのこと。Be-1やパオとは違う、クラシカルで優雅な雰囲気は、女性ならではの感性から生み出されたものなのでしょう。
フィガロでは、販売台数を限定2万台とし、3度に分けて抽選する、という販売方法が採られました。現在フィガロは、海外でも大人気となっており、日本と同じ左側通行の国イギリスでは、特に人気で、ミュージシャンのエリッククラプトンさんも入手されたとか。
コメント
コメントの使い方