寒い冬の朝、フロントガラスの氷をはらおうとワイパーを動かそうとしたが…あれ、動かない!? ワイパーブレードがガラスに凍って張り付いてしまい、動かそうとしても動かなくなってしまうことがある。
こんなとき、ワイパーを引っ張って無理やり剥がそうとしたり、お湯をかけて解かそうとすると、かえって面倒な事態になってしまう可能性がある。ワイパーブレードが凍り付いたときの対処法、そして予防法について、雪国出身の筆者が経験を交えつつ、ご紹介しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock _barold
写真:写真AC、イラストAC、Adobe Stock、ベストカー編集部
雪のなかクルマを使った翌朝が一番やっかい
ワイパーがフロントガラスに凍って張り付く現象は、ワイパー付近に付着した水分が凍結して起きる現象なので、水分がない状態で気温が下がっただけなら、ワイパーが凍って張り付いてしまうということは起きにくい。
例えば日中は雨が降っていたものの、夜中に気温が低下して水分が凍ってしまうと、その日一日クルマを使っていなかったとしても、ワイパーはガッチリとガラスに凍って張り付いてしまう。しかし日中晴れて乾燥していて、クルマに水分が付着していない状況で夜中に気温が下がっても、ガラスに霜は付くがワイパーは動かせる、という時もある。
一番がっちりワイパーがくっついてしまうのは、雪が降りしきる中クルマを使用し、そのまま屋外駐車場に止め、その後冷えてしまったワイパーブレードだ。クルマに乗っている間はヒーターの熱でガラスが温められ、雪がどんどん解けるが、エンジンを切ってから冷却が徐々に始まると、その水分が凍ってガッチリとワイパーをホールドしてしまう。
天気予報を見て、暖かく湿った雪が降った後、急激に気温が下がるような日は要注意だ。
デフロスターか解氷スプレーがおススメ
ワイパーブレードがフロントガラスに凍って張りついてしまったとき、ワイパーを引っ張って無理やり剥がそうとすれば、最悪の場合、ゴムがちぎれてしまうことがある。また、硬い氷をガンガン叩いて割ろうとすれば、クルマのガラスは強いとはいえ、ピンポイントで強い力を加えると割れてしまう可能性もある。
また、熱いお湯をかけてしまうと、冷え切ったガラスとの急激な温度変化でガラスにヒビが入ってしまう可能性もある。小さなヒビでもそれが一気に広がり、最悪は交換…ということにもなりかねない。
ワイパーがフロントガラスに凍って張りついてしまったときの安全で確実な対処法、ひとつは、エアコンのデフロスター機能を使ってフロントガラスに温かい風を送り、氷を解かすやり方だ。本来は内窓のくもりを取る機能だが、エンジンをかけてエアコンの温度を上げ(暖房にする)、外気導入モードにし、窓のマークをプッシュする(もしくはダイヤルやレバーを合わせる)。ある程度温まるまで時間がかかるが、よほど気温が低く無い限り10分もあれば解けてくるだろう。
「そんな時間ないよ!! 」という方には「解氷スプレー」がオススメだ。カー用品店などで数百円〜千円程度で入手でき、凍ったガラスやワイパー部分に直接スプレーして氷を解かすことができる。製品によってはフタがスクレーパーになっているものもあるので、一本常備しておくと便利だ。
ただし、分厚い氷の場合はなかなか解けないことや、中にはガラスコーティングにダメージを与える製品もあるため、コーティングを施工している場合には注意が必要であることを覚えておいてほしい。
水やぬるま湯をかけるという手段もあるが、かけた水が再び凍ってしまう恐れがある。そうなるとワイパーは動かせるようになっても良好な視界につながらず、結局はヒーターが温まるまで待たなくてはならないということもあるので、あまりオススメできない。
ちなみに車種・装備によっては「ワイパーデアイサー」という機能が付いていることもある。主に寒冷地仕様に多いのだが、車内にあるこの機能のスイッチをオンにすると、ワイパー付近に設置された熱線が温まり、氷を解かしてくれるという優れものだ。雪国でなければ馴染みのない装備かもしれないが、そういう装備が存在するということを覚えておけば、雪国でレンタカーに乗る機会に、必要以上の苦労をしなくても済むはずだ。
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