2021年末、警察庁は脱炭素社会の実現に向けて信号機の集中制御化など、地球温暖化対策の推進を全国の警察に通達した。
政府は地球温暖化対策計画を改定し、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減する目標が策定した。
これに合わせて警察庁は交通警察施策として、信号機の集中制御化などの高度道路交通システム(ITS)の推進や、プロファイル化などの信号機改良、信号灯器のLED化など、持続可能でグリーン化につながる交通安全施設を整備するよう全国の警察に通達したのだ。
信号機の集中制御は環境対策に効果があるのか? そもそも日本の信号機の現実が世界の常識から遅れているのでは!? という根本的問題まで斬っていきたい。
※本稿は2021年11月のものです
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(メイン写真=xiaosan@AdobeStock)、TOYOTA、HONDA、NISSAN、SUZUKI
初出/ベストカー2021年12月26日号
■日本は課題だらけ!? エコだけじゃない! 無駄をなくすため改善すべき信号機事情
警察庁が二酸化炭素をムダに排出しないで済むよう、信号機の集中制御化を行うよう全国の警察に通達したという。このニュースを見て「今までまったく考えていなかったのね」と驚いた。
まぁやってないワな。東京の台場に芸能人が麻薬で逮捕されると連れて行かれる『湾岸署』ってあります。ここの前の信号は、超オロカだったりする。交通量多くて片側2車線ある道路の赤信号時間が、交差する片側1車線で交通量が超々少ない道の2倍くらいあるのだ。
はたまた私がよく使う環状八号線『練馬トンネル』の側道、1400mの間に8箇所も信号を作った。すべてほとんど交通量のない公差道路です。なのに、交通量が多い環状八号線側道の青信号時間は極めて短い。1400mを通過するのに必ず3回以上は信号に引っかかる。ECOもクソもヘチマもナスもない信号制御だ。
上記2箇所以外でも、少し考えるだけで「こりゃオロカですね!」と感じる“交差する道路の交通量をまったく考えていない信号制御”は日本全国数多ある。
渋滞を作ればそれだけ燃費悪くなって二酸化炭素排出量増えるし、経済的な損失だって大きい。そういった社会の常識を、今になって警察庁は全国の警察に通達したというのだから驚く。自動車メーカーが、どんだけ燃費をよくするために頑張っているのかなど考えもしないんだろう。
さて、どうしたらいいか? まず誰にだってわかるのは、交通量による信号時間の調整だ。湾岸署の横の信号から始めたらいい。具体的にはクルマが止まる台数×時間を公平に近づければいいだけ。
10分間に100台通過する道路と10台通過する道路なら、信号が青の時間を10対1に近づければいい簡単な仕事だ。そうすれば両方の道の時間当たり交通量を公平にできる。歩行者用信号の青時間も、自動車の通行量と歩行者の通行量で決めればよかろう。
そのうえで交差点の改良をしたい。交通渋滞の大きな原因のひとつになっているのは、片側1車線道路の右折車だ。最近クルマの動きが一段とノンビリしてきた。充分な安全マージンを取らないと右折できないワケ。
私の家の前の道は渋滞する。トロい右折車がいると、1回の信号で1台しか通過できないから困ったもの。何とか工夫して右折レーンを作るだけでずいぶん流れがよくなるだろう。左折車の流れを阻害しているのは歩行者。これまた安全のためにも歩行者側の青信号の時間を短くしたらいい。
理想的には中国のように監視カメラなどで交通量をコンピューター解析し、適切なタイミングで信号をコントロールすべきだろう。
誰も渡らない横断歩道のためクルマを止めたり、交差する道路にクルマいないのに青信号出したりするのはインターネットのない昭和の時代で終えるべきだった。平成でシステム構築し、今や普通に稼働していておかしくない。我が国の道路行政はまったく進化せず。
警察官僚にお願いしたい! そろそろ本気を出して「円滑な交通の流れ」を追求してほしいと思う。
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