欧州トヨタが小型SUVのアイゴX発表! 日本で発売すれば大ヒット間違いなし 日本発売の可能性は?

■欧州をメインターゲットとしたトヨタの超小型車といえば思い出すiQ

当時は志が高すぎたが運転の楽しさには定評があった、2009年にはiQをベースにしたアストンマーティンシグネットも発売され、現在ではカルト的な高値がついている)
当時は志が高すぎたが運転の楽しさには定評があった、2009年にはiQをベースにしたアストンマーティンシグネットも発売され、現在ではカルト的な高値がついている)

 トヨタの欧州市場をメインターゲットにした超コンパクトカーといえば、トヨタiQを思い出す人も多いのではないだろうか。欧州では2009年にローンチされ、軽自動車より短い全長2985mmで4人乗車可能。

 1/1.3リットルのガソリンエンジンと1.4リットルディーゼルターボエンジンが採用され、世界初の後部窓ガラス用エアバッグを含む9つのエアバッグや、横滑り防止電子制御などハイテク安全装備が搭載された「マイクロプレミアムカー」という華々しいウリ文句だったが、結果としては失敗作となってしまった。

 発売当初の2009年には欧州全体で約4万4000台が販売されたが、2012年には4分の1以下の約9200台の販売となり、2015年に販売終了となった。

 iQの苦い経験をアイゴXに重ねる人もいるかもしれないが、おそらくそれは間違いだろう。実はiQの販売不振の原因の一つは、当時アイゴがより人気だったということが挙げられる。

 リーマンショックからまだ立ち直れないでいた欧州経済に、ギリシャの財政危機に端を発した債務危機が再び襲いかかったタイミングで、ベーシックグレードでも12700ユーロ(当時の為替レートで100万円台半ばから後半)を超える強気のプライスタグをつけていたiQと比べ、より大きくて50万円以上安いアイゴに人気が集まったのは自然の成り行き。

 やや売れ行きが落ちた2013年、14年を除けば、アイゴは欧州でコンスタントに毎年8万〜10万台が売れる人気を誇るコンパクトカーなのだ。

 日本においても2008年10月に発売され、発表直後は2500台の月販目標に対して約8000台の受注が入るなど、幸先のいいスタートを切った。ジャーナリストからの評価も高く、2008年11月には「日本カー・オブ・ザ・イヤー2008-2009」を受賞。

 2009年には1.3Lエンジンが追加され、2010年11月には6MT版を追加。さらに2011年10月には英国の超高級ブランドであるアストンマーティンが、トヨタiQをベースとする超プレミアム・コンパクトカー「アストンマーティンシグネット」をリリース。

 しかし、2016年3月に生産終了、4月に販売終了となってしまった。結局、約7年半あまりでたった3万1333台しか売れなかった。軽自動車のシェア4割近くに達する日本では厳しかったか……。

■アイゴXの日本発売は? アイゴXベースのレクサスのコンパクトSUVのEVが出る?

2015年のジュネーブショーに出展されたレクサスのウルトラコンパクトクラスのコンセプトカー、「LEXUS LF-SA」
2015年のジュネーブショーに出展されたレクサスのウルトラコンパクトクラスのコンセプトカー、「LEXUS LF-SA」
アイゴXのレクサスバージョン。全長4000mm前後のコンパクトサイズで、タウンユースをメインとした、スタイリッシュなミニSUV(CGスクープイラストはベストカーが製作したもの)
アイゴXのレクサスバージョン。全長4000mm前後のコンパクトサイズで、タウンユースをメインとした、スタイリッシュなミニSUV(CGスクープイラストはベストカーが製作したもの)

 アイゴXは日本で発売されることはあるのだろうか。現在の半導体不足や中国でのコロナ感染拡大などの不安定要素を考えると、新型車を国内導入して、ただでさえ納期の長期化で悩む販売現場にさらなる負担がかかる事態は避けたいと考えるのが普通だろう。

 またチェコで製造される比較的安価なクルマを逆輸入するというのもコストの面でやや考えにくい。残念ながら日本での発売は期待薄かもしれない。

 また2021年秋に、一部で「トヨタ東日本の岩手工場にて、レクサスの新型コンパクトスポーツタイプSUVの生産が検討されている」と報じられ、それがアイゴXベースなのでは、という憶測が生まれた。

 同工場ではGA-Bプラットフォームを採用しているヤリスクロス、アクアを生産しているだけに、それなりの信憑性があるかもしれない。

 2015年のジュネーブショーに出展されたウルトラコンパクトクラスのコンセプトカー「LEXUS LF-SA」を見ると、アイゴXと似ていなくもない。

 3ドアと5ドアという違いはあるものの、当時発表されたスペックも、全長3450×全幅1700×全高1430mmというもので、アイゴXに近いサイズ感だ。また意欲的な装備を搭載したコンパクトカーというコンセプトも一致している。

2021年12月のトヨタのバッテリーEV戦略に関する説明会で公表されたコンセプトカーを含む写真には、レクサスブランドのウルトラコンパクトサイズのSUVの姿は見られなかった(撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)
2021年12月のトヨタのバッテリーEV戦略に関する説明会で公表されたコンセプトカーを含む写真には、レクサスブランドのウルトラコンパクトサイズのSUVの姿は見られなかった(撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY)

 レクサスは2030年までに欧州・北米・中国で販売される全ての車種をEVとし、2035年までに全車EV化を果たすと公約していることを考えると、仮に新型コンパクトスポーツSUVが登場するとなるとEVである可能性が極めて高い。

 そしてGA-Bプラットフォームの出来の良さを考えると、結果的にアイゴXを4WDのBEVにしたような見た目のクルマがレクサスのバッチをつけて登場してもおかしくはない。

 ただ2021年末のトヨタのBEV戦略説明会では、レクサスのバッチをつけたコンパクトSUVのコンセプトカーは登場しなかった。

 2017年5月、豊田章男会長は「トヨタは退屈なクルマはもう作らない、もっといいクルマづくりを進めていくが、その原点は小さくても安全・快適で運転して楽しいコンパクトカーを安価な価格で実現するところにある」と宣言した。

 その思いが形になったのが、当時発表されたばかりのCH-Rであり、直近のヤリスやヤリスクロス、アクアもその延長線上にある。アイゴXも間違いなく豊田章男会長の強い思いを引き継いでいるクルマに仕上がっているだろう。

【画像ギャラリー】欧州で人気のアイゴ。アイゴXも登場したが、一体どんなクルマ!?(20枚)画像ギャラリー

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