■グレードも排気量も最上級であることが正義?
車種選びが大事なことはいうまでもないが、グレードが何であるか(どのくらいのポジションに位置するのか)も同じくらい重要視された。
メルセデスベンツSクラス(W/V126型)も560SELに需要が集中したし、初代セルシオにしても「一番上の全部付き」であるC仕様Fパッケージが最強だったのだ。グレードおよび排気量も最上級であることが正義だったのだ。
そうなると、例えば「2.0GTツインターボ」より「3.0GTリミテッド」の方が格上という扱いになる。メーカーもそのあたりのユーザー心理を心得ていたのか、グレードが一目で分かるエンブレムを用意して、視覚的にもその違いを容易にしていた。
「Limited」や「VIP」など、トップグレードのみに与えられたエンブレムは、興味がない人からすればバッチのひとつに過ぎない。しかし、一部のユーザーにとって、まさに富と力を誇示するうえで必須装備だったのかもしれない。
サンルーフとマルチビジョンAVシステム、デジタルメーター、さらに自動車電話や当時としては先進(&高級)アイテムだったカーナビが装備されていれば、もはやフルアーマーガンダム状態の無敵マシンとして、同乗する女子にも喜ばれたものだ。
■デートカーとして一世を風靡した国産車
挙げればキリがないが「デートカー御三家」といえばこの3台だろう。
トヨタソアラ(Z20型)
・発売開始:1986年1月
・エンジン:直列6気筒DOHC、直列6気筒DOHCターボ、直列6気筒DOHCツインターボ
・排気量:1988cc、2954cc
・最高出力/最大トルク:105ps/15kgm、200ps/28kgm、240ps/35kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4680×1695×1350mm、4680×1730×1340mm他
・新車の価格帯:237.2万円〜489.6万円
・中古車の平均価格:232.8万円
初代モデルのイメージをキープしながらリファインした2代目ソアラ。世界で初めてスペースビジョンメーターを実用化したのもこのモデルだ。白洲次郎が開発陣に助言を送ったモデルとしても知られる。
ホンダプレリュード(BA4型)
・発売開始:1987年4月
・エンジン:直列4気筒SOHC、直列4気筒DOHC
・排気量:1958cc
・最高出力/最大トルク:110ps/15.5kgm、140ps/17.8kgm他
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4460×1695×1300mm
・新車の価格帯:130.9万円〜236万円
・中古車の平均価格:121万円
ソアラと同様に、先代モデルをリファインしたデザインの3代目プレリュード。市販車としては初となる4WSを装備したのもこのプレリュードだ。電動サンルーフの装備がデートカーとしても必須装備だった。
日産シルビア(S13型)
・発売開始:1988年5月
・エンジン:直列4気筒DOHC、直列4気筒DOHCターボ
・排気量:1809cc、1998cc
・最高出力/最大トルク:135ps/16.2kgm、175ps/23kgm、140ps/18.2kgm、205ps/28kgm
・ボディサイズ(全長×全幅×全高):4470×1690×1290mm
・新車の価格帯:152.6万円〜249.6万円
・中古車の平均価格:276.4万円
当時の若者を中心に人気を博したS13型シルビア。ターボエンジンのK’s、NAエンジンを搭載したQ’sとJ’sの3グレード構成。前期型は1.8L、後期型は2.0Lエンジンを搭載。
他にもセリカGT-FOURやスープラ、フェアレディZ(Z32)、マークII 3兄弟、初代シーマなど。いずれもその時代を代表する高級車やスポーツカー、クーペモデルばかりだ。
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