いよいよ発売の軽EVは地方と離島の救世主になる!! 苦しい事情と秘めた可能性

日産サクラ/三菱eKクロスEVのお膝元、岡山県の離島で見たEV普及の鍵

 2022年5月20日、100%電気の軽自動車“日産サクラ”と“三菱ekクロスEVが”発表され、今夏から販売開始されることが発表した。

 軽電気自動車(以下BEV)の日産サクラと三菱ekクロスEVは岡山県倉敷市にある三菱自動車工場水島製作所で製造される。

 その新型軽BEVが製造される岡山県にある離島の犬島では、“オカモビ”と呼ばれる岡山市の超小型モビリティの実証実験が行われていた。この離島でみた実証実験に軽BEVのサクラとekクロスEVがゲームチェンジャーとなる可能性を感じたのでリポートしたい。

文、写真/萩原文博

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西部警察最終回の離島では小型BEVの実証実験が行われていた

日産サクラ/三菱eKクロスEVのお膝元、岡山県の離島で見たEV普及の鍵
トヨタ車体のコムスが実証実験に使用されていた

 “オカモビ”と題した、岡山市が行っている超小型モビリティ実証実験プロジェクトがある。その存在を知ったのは、西部警察ファンである筆者が岡山県にある犬島へ聖地巡礼に行ったからだ。

 岡山県犬島といえば現在は、ベネッセが管理する犬島精錬所美術館や瀬戸内国際芸術祭の会場の一つとしてよく知られている離島だ。この犬島には岡山の宝伝港からフェリーに10分程度乗る必要がある。

 筆者と同じ世代の西部警察ファンにとって犬島と言えば、80年代のテレビドラマ、西部警察の団長の殉職の地として知っている人も多いはず。実は筆者も大門軍団とテロ組織「鷹の目」の最終決戦の地を見るために訪れたのだ。

 不本意ながら、船の都合で団長殉職の地である精錬所跡には行くことができなかったのだが、港でフェリーを待っているときに偶然オカモビの存在を知ったのだった。

 オカモビで使用されている超小型モビリティというのは、環境にやさしく、地域内での手軽で新たな交通手段として期待されている1人~2人乗り程度のコンパクトなBEVだ。

 さらに自転車や自動車・公共交通機関での移動の補完や、自動車を共有して活用するシェアリングなどにより、車の総量抑制と道路空間に余裕を生み出す可能性も秘めているので、新たな交通手段の可能性を実証実験で検証しているのだ。

 港でフェリーを待っているときに、オカモビのステッカーが貼られた一人乗りのトヨタコムスが走って来た。トヨタコムスはセブンイレブンなどで配達用に使われているBEVといえば、あぁアレね。という人も多いはずだ。

 コムスに乗ってきた島民の方に聞くと、コムスはコミュニティセンターに停まっていて、普通免許証をもっていれば誰でも利用可能となっているという。犬島のような離島は船でガソリンを運んでくる必要があるため、ガソリン代が高くて、ガソリン車はとても所有することができないとのこと。

 道幅も狭く、行動範囲も数十キロと短いため、コムスのような超小型BEVは利便性が高いという。また、無造作に港に停まっていた軽トラックもよく見るとBEVだった。

 ガソリンスタンドはクルマの燃費向上とともに、2013年2月までに40年以上前に埋められた燃料用地下タンクの改修が義務づけられたことで、ガソリンスタンドの廃業が増加。地方ではガソリンを給油するために数十キロ走行するというケースもあるのだ。

 さらに、犬島のような離島にはフェリーでガソリンを運ぶ必要があり、価格は高騰してしまう。そして現在の不安定な世界情勢により燃料価格は上昇。ガソリン車には向かい風ばかりという状況なのだ。

 しかも犬島をはじめとした地方は一戸建てが多く、充電池を設置しやすいということもあり、BEVとの親和性が高い。BEVは都市向けという意見もあるが、都市部はマンションのような集合住宅が多いため、充電器の設置が難しくBEV普及を阻む高い壁があるのだ。

 しかし一戸建ての多いエリアであれば充電器の設置も可能で、発表されたばかりのサクラやeKクロスEVは補助金55万円を利用すれば、軽ハイトワゴンのガソリンターボと変わらない価格で手に入るのだ。

 ガソリンスタンドのない地域の人々にとって軽BEVの登場により、給油のためのドライブする時間がなくなるだけでなく、家庭で充電することができ、より安くクルマに乗ることができるのだ。

 まさに、軽BEV普及のサクラ前線はこれまで燃料を入れるのに苦労していたエリアの救世主となり、そして全国に拡大していくと確信した。

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