■2年遅れで導入された日本版アウトバックの中身
その理由はメカニズムを見るとわかる。一見、同じアウトバックだが仕向地向けでパワートレーンとアイサイトは異なる。例えば、北米仕様は2.4Lターボ&2.5LNA/Ver3+アイサイトドライバーアシストテクノロジー(2023モデルより)、欧州をはじめとするほかの海外仕様は2.5LNA/新世代アイサイト+ツーリングアシストなのに対して、日本仕様は1.8Lターボ/新世代アイサイト+高度運転支援(=アイサイトX)」と、スバルの最新のユニットの組み合わせなのだ。
エクステリアはキープコンセプトだが、実車を日の光の下で見てみると立体感のある造形で、より筋肉質でたくましさがアップしているのがよくわかる。実は社内では「メカニズムを刷新したので、デザインも大きく変えるべきでは?」と言う議論もあったと言うが、最終的には「変化のための変化」ではなく、「ユーザーの使われ方に対して考えるべき」と大きな変更を行なわなかったそうだ。
デザインイメージは「トレッキングシューズ」で、前後バンパーやクラッディングなどはアウトバックらしさが「より大胆に」表現。
グレードによってキャラが異なり、「リミテッド」はメッキ加飾や切削&ダークメタリック塗装のアルミホイール、クロスバービルトインタイプのルーフレールなどによりプレステージ性を引き上げたコーディネイト。
一方、「Xブレイク」はブラック塗装の加飾やダークメタリック塗装のアルミホイール、ラダータイプのルーフレールなどにより道具感が高められたコーディネイトだ。
■すべての乗員が快適に過ごせる空間設計
ボディサイズは全長4870×全幅1875×全高1675(EX)/1670(Xブレイク)mmと先代よりもアップしているものの、実用上は先代とほぼ同等と考えていい。
インテリアはエクステリアと真逆で全面刷新。縦型の大型ディスプレイ内蔵のインパネセンターやフル液晶のメーターなどは2代目レヴォーグと共通レイアウトだが、左右/センターの空調グリルやシフト周り(サイドブレーキスイッチの位置)はアウトバック専用デザインだ。
横方向の広がりやカラーコーディネイトから独自性はあるものの、欲を言えば液晶メーターは専用デザインでもよかったかな……と。ただし、オプションで「ハーマンカードンサウンドシステム」がセレクト可能なのは、高く評価できるポイントだ。
スバル車の多くはどちらかと言うと前席の乗員優先のパッケージだが、アウトバックはすべての乗員が快適に過ごせる空間設計となっている。運転席で筆者(身長170cm)がシートポジションを合わせた時の後席の足元は足を組んでもシートバックに当たらないほどの広さである。
先代でも充分以上だったラゲッジスペースも長さ方向で約25mm拡大されるなど優秀。もちろん、ハンズフリーパワーリアゲートやポップアップトノカバーなどの採用など利便性も高められている。
■走りと乗り心地のバランスは現行スバル車最良のアウトバック
パワートレーンは1.8L直噴ターボ(CB18)+リニアトロニックの組み合わせだ。先代(2.5LNA)と比べると、スペックは175ps/240Nm→177ps/300Nmと大きく変わらないが、実用トルクやドライバビリティの高さは数値以上の差を感じる。
ただ、高速などの追い越しといったシーンではもう少し余裕が欲しいのも事実だ。肝心な燃費も熱効率40%を誇る割には、それほどいい値ではないのはちょっと……。せめて「高速15km/Lオーバーは楽勝」くらいのレベルにはいってほしい。個人的には「1.8Lターボ+電動化」という選択肢も必要だと思っている。
プラットフォームはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)、それもフルインナーフレーム構造採用の新世代だ。日本では2代目レヴォーグに続く採用だが、実はワールドワイドで見るとアウトバックが初採用であることは、あまり知られていない。
その走りは……と言うと、基本性能のレベルアップは言うまでもなく、数値に表れにくい「動的質感」に関してはプレミアムセグメントに足を踏み入れた感じだ。歴代アウトバックはよくも悪くも大味なところがあったが、新型は穏やかなのに繊細なハンドリングに仕上がっている。
つまり、見た目や機能はクロスオーバーだが、走りに関しては歴代レガシィが目指してきた「グランドツーリング性能」をシッカリと継承している。個人的には走りと乗り心地のバランス……という意味では、現行スバル車最良と言ってもいい。
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