9月も下旬といったところだが、まだまだ暑さが続くところも多そうだ。首都圏ではこの週末、またもや30度を超える予報が目に入る。
「転ばぬ先の杖」とはよく言うが、それはクルマに対しても当てはまる言葉だ。実際に故障してからでは遅いので、それを防ぐには走行前の点検が肝心となる。
ここではその点検ポイントについて9つ解説しよう。
※本稿は2022年7月のものです。
文/高根英幸、写真/AdobeStock(メイン写真=buritora@AdobeStock ※画像はイメージです)、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年8月26日号
■万が一に備えて……特に大事な点検ポイント
最近のクルマはメンテナンスフリー化が進んで、本当に壊れなくなっている。
しかし真夏、それもお盆休みとなると高い気温に加えて渋滞と長時間の走行という三重苦がクルマにのし掛かる。
自動車メーカーも熱対策を施しているが、昨今の猛暑ぶりは凄まじい。それにより、加速度的にパーツの寿命を縮めてしまう可能性があるのだ。
バッテリーは真冬も電圧降下によるトラブルが起こるが、真夏も厳しい環境に音を上げるケースが増える。
エンジンルーム内の温度上昇によりバッテリー液が蒸発しやすくなり、極板がバッテリー内で空気に触れるようになってしまう。するとバッテリーの発電力が低下してバッテリー上がりを起こしやすくなるのだ。
対策としては補水タイプのバッテリーではバッテリー液のレベルと充電量をチェック。補水不要のMFタイプは点検して早めに交換しよう。
最近のクルマは環境保全のために廃油を減らすべく、エンジンオイルの量を減らし、交換サイクルを延ばしている。
そのぶん、純正オイルも高性能になっているが、真夏の渋滞はかなりのシビアコンディション。行楽の前にエンジンオイルを交換してやるだけで、エンジンの保護につながる。
トランスミッションもATFを交換すると、潤滑や冷却の性能を維持できるが、最近は交換不要の仕様も多い。
ならばできる限り、激しく油温が上昇しない状態で利用してやることが長持ちの秘訣だ。
オルタネーターも高温下ではダウンしやすいパーツだ。
特に排気系が近くにあるクルマは渋滞時に高温になり、ICレギュレーターがパンクして充電不能になることもある。
エアコンが故障するのも、この時期に多いが、それは炎天下の渋滞で利用することに加えて、使用頻度が高まることも原因だ。
エンジンマウントの劣化や点火系、排気系などの性能低下でエンジンの振動が増え、配管内部のOリング劣化により、配管周辺からクーラーガスやコンプレッサーオイルが少しずつ漏れてしまうトラブルも起こりやすくなる。
クーラーガスが抜けてしまっているのは、タイヤで言えばパンクしている状態なので、ガスを補充しても一時しのぎにしかならない。
漏れている箇所を特定して修理しなければ、短期間のうちに再び冷房は効かなくなる。
ワイパーもゲリラ豪雨などでワイパーモーターの負担が増えて、モーターが焼けてしまうケースも。
予防策としてはワイパーレスで走れるよう撥水コーティングをしておいたり、ワイパーブレードをワンサイズ短いモノにして、モーターの負担を減らすことだ。
ヘッドライトのレンズはポリカーボネート製のため、紫外線によって黄ばみや曇り、クラックなどの劣化が進む。酷くなると車検に通らないだけでなく、視界不良で危険だ。
これを防ぐにはヘッドライトクリーナーを使って黄ばみや曇りを除去して、再発防止にUVカットのコーティング剤を塗って保護してやろう。
ゲリラ豪雨で急に路面に水膜が張ると、溝の少ないタイヤはハイドロプレーニングを起こして制御不能になる危険性も高まる。タイヤの空気圧チェックと同時に残り溝(1.6ミリ以上あるか)も確認しよう。
スマートキーのバッテリーも使用頻度上昇と外気温上昇で、いっきに寿命を迎えることも。
前回の車検で交換していなければ、出掛ける前に新品のバッテリーに交換しておくと安心だ。
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