■CVTの人気と課題
が、最近、この順位に大変動が起きている。現在はこんな感じだ。
1位 トルコンAT
2位 DCT(ツインクラッチ)
3位 CVT
4位 セミAT
ツインクラッチは、もともと低速域でややガクガク感があったが、その後信頼性の問題も浮上し、トルコンATに逆転を許している。現在のトルコンATはトルコンスリップもほとんどなく、変速速度やダイレクト感の面でもDCTに劣らない。ならばガクガクしたりブッ壊れたりする(かもしれない)DCTを選ぶ理由はない。
実際、私が乗っていたルノー トゥインゴは、DCTのクラッチモーターがブッ壊れ、偶数ギア(2、4、6速とリバース)にしか入らなくなった。クラッチモーター交換で直ったが、知人に譲ってまもなく今後は奇数ギアのみになり、リバースも入らなくなってレッカーのお世話になった。走行距離は約7万km。ちょっと古めのDCT(特に乾式クラッチ)の耐久性には注意が必要だ。
セミATはガクガク感が堪えられないし、セミATに乗るくらいならMTのほうがいい。そして問題はCVTだ。
私はかつて、「CVTに乗るくらいなら電車に乗る!」くらいのことを思っていた。あんなつかみどころのないミッションなど冗談じゃない! と言うわりには何台かCVT車を買っているのだが(フィアット プントやランチア イプシロン)、それらは走りではなくデザインに惚れて買ったセカンドカーたち。メインの足には選びたくないと思っていた。
スバル車のATは、2014年以降、CVTに統一された。つまりATはCVTしかない。スバルがいかにいいクルマを作ろうとも、ATがCVTである限り、欲しいと思うことは未来永劫ないはずだった。
もちろんスバルも、CVTの課題は痛いほど認識しており、スポーツリニアトロニックでは、疑似的なステップ変速を可能にしたが、逆に私は「こんな気分だけのインチキ変速、一度使ったらもう使わないぜ!」くらいのことを思ったものだ。
■スバルが払拭したCVTの不満
が、その考えは、2代目レヴォーグおよびWRX S4で採用された「スバルパフォーマンストランスミッション(SPT)」を体験して、180度転換した。
スポーツリニアトロニックからの改良点は、マニュアルモードが6速から8速になり、シフトチェンジが大幅に高速化したことだ。しかも、制動時に素早く反応し、ブリッピングしながら自動的にシフトダウンするところまで進化している!
個人的に一番シビレたのは、S#モードでのアクセル全開時の自動シフトアップ制御だった。それはもう、「これはF1マシンか!?」と思うほど、シフトチェンジのレスポンスが超高速で気持ちイイ! しかも、疑似的にシフトショックまで演出してくれている!
演技も真に迫れば真実になる。大根役者の演技は真っ平だが、名優の演技には誰もが陶酔する! CVTでこんなことができるんなら、もう耐久性が心配なDCTなど滅んでヨシ! 個人的には、かつて所有したフェラーリ458イタリアのDCTよりも、このCVTの疑似ステップ変速のほうが気持ちよかったほどである。
人間は現金なもので、こういう素晴らしいパフォーマンスを見せつけられると、Iモード(通常の無段変速)でタラタラ流している時も、まったく不満を感じなくなる。「やる時はやるヤツだ」と認めれば、評価は根底から一変するのである。
2代目レヴォーグ、およびWRX S4に搭載された2.4Lターボも、トルクが分厚くて実に気持ちイイ。最高出力は2.0Lターボよりダウンしているが、余裕で流すおっさんには、トルクフルな2.4のほうがしっくりくる。「トルクフル」というとおっさん臭いイメージがあるが。低い回転から感度ビンビンにパワフルというだけのこと。このエンジンとSPTの組み合わせは、なにもかもが最高だ!
というわけで、SPTに限っては、2位のDCTを完全に超え、1位のトルコンATにとって替わるところまで順位が上昇する。SPTこそ、現在地上最高のATかもしれない。クルマ好きのおっさんは、ミッション主体でクルマを選ぶなら、SPT搭載の2代目レヴォーグやWRX S4を狙え!
【画像ギャラリー】いまおっさんが乗るべきレヴォーグとWRX S4を写真で見る!(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方高負荷で割と早い段階で保護機能が働いてしまう記事を読んだ事があるんですが改善されているんでしょうか?
スポーティーな外観なんで余計に期待値が高くなってしまう