■4WD専売が足かせとなっていた!? FF追加の真相とは
スバル車は4WDのパイオニアであり、世界的にみると4WD比率が95%以上と非常に高い。そのためクロスオーバーの旧XVも初代モデルにFFがあっただけで、2代目と3代目モデルは4WDのみであった。
この点に関して筆者は「スバルの4WDは高性能なのに車重+約50kg、価格は+約20万円(その半分くらいは処分するときの査定で回収できるだろう)、燃費も約5%落ちと4WDによる失うものが少ないのに得るものが多いのだから、それも当然」と感じていた。しかし、クロストレックからはFFが追加されたのだ。
毛塚PGMは「ユーザー調査の中ではクロスオーバーの旧XVでも『4WDしかないという理由、つまり失うものは少ないとはいえマイナス面、無駄なところがあるから旧XVを選ばなかった』というお客様が少なからずいらっしゃいました。
FF車はそういった方に向け追加したもので、FF車の追加がクロストレックの拡販につながることを強く期待しています」とのことだった。
■コスパ最強だった1.6リッターが廃止!! ストロングハイブリッドが追加される?
3代目XVはモデルサイクル中盤以降比較的簡易なハイブリッドとなるe-BOXER中心だったのは事実である。そして1.6リッターのベーシックグレードは4WDなのに220万円と、リーズナブルさを牽引していたという面もある。
しかし、新型クロストレックから1.6リッターは廃止された。その理由を毛塚PGMに聞くと「CAFE(企業別平均燃費規制)をはじめとした燃費や環境に対する法規が厳しくなっているのもあり、現状では燃費がスバル社内最良となるe-BOXERのみのとしました」
ただ、スバルはCAFEの達成が芳しくなく、燃費に関してはかつてと意味合いは違うとしても、相対的に劣勢なのも事実だ。この点を考えると、FF車の追加にはCAFE対応という目的もあったのかもしれない。
また、本格的なハイブリッドなど燃費のいいパワートレーンがクロストレックを含めたインプレッサシリーズ、スバル車に早期に加わることも強く期待したい。
■アイサイトXの採用なし! 最大の理由は価格にあった
新型クロストレックのアイサイトは周囲の情報を収集するハードウェアに、近距離で飛び出してきた自転車などの認識に優れる広角単眼カメラが追加され、最新のアイサイトに相応しい最高の基本性能を備える。
この点はもちろん大歓迎ながら、レヴォーグ、レガシィアウトバック、WRX S4に装備され、進路変更の際のアシストや自動車専用道路での渋滞中のハンズオフ機能。コーナーに合せた減速といった運転支援機能も備えるアイサイトXとは異なるモノが採用されている。
その理由を毛塚PGMに尋ねると「価格と車格との折り合いが大きな理由です。アイサイトXを構成するには3D高精度地図データやハンドルを持っていることをクルマが認識するためのタッチセンサー付ハンドルなどの付帯装備が必要となります。
それは当然価格に反映されますので(WRX S4やレヴォーグを見ると、このあたりだけでも20万円近いものに見える)、クロストレックでのアイサイトX搭載は見送りました」という。
もちろんアイサイトXがあればそれがベストには違いないが、クロストレックも渋滞中などの際には先行車が走る軌跡も認識して先行車を追従するツーリングアシストが付く。
そのため総合的な自動ブレーキ&運転支援機能の性能は車格などを考えれば十分な競争力があるだけに、これも妥当な判断と言えるのではないだろうか。
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