■「コミュニケーションツール」から「移動の手段」へ
キャンバストップが廃れた背景には、先に挙げたクルマの位置付けの変化がある。
昔はコミュニケーションツールで、日常生活を楽しむ上で不可欠な存在だったが、今はインターネットやSNSなどが普及したから移動のツールになった。クルマをコミュニケーションツールとして楽しく使うニーズが薄れ、オープンドライブも衰退している。
その結果、オープンドライブは、外観のカッコ良さを含めて特別な存在になりつつある。日本車ではスポーツカーのロードスター、輸入車も主にスポーツカーと、プレミアムブランドの上級カブリオレに限られるようになった。
さらにいえば今の風潮も影響しているだろう。「他人と違う目立つことはしたくない」という気持ちが働いている。冒頭で触れた軽自動車にも、その傾向が見られる。
あるメーカーの商品企画担当者は「スーパーハイトワゴンを買うと、背の高い軽自動車を所有しているお客様同士でコミュニケーションを図りやすい」と言った。
要は幼稚園の送り迎えなどで、ホンダN-BOX、ダイハツタント、スズキスペーシアなどに乗っていると、母親同士の足並みがそろって仲良くできるらしい。そこがうまく行かないと、子供に影響が及ぶ心配も生じる。
またあるスポーツカーの開発者は「スポーツカーが売れなくなった背景には、イジメの構図がある」とコメントした。自分だけ個性的なスポーツカーに乗っていると、周囲と馴染みにくく、仲間ハズレにされる心配があるというわけだ。
キャンバストップが廃れて、ムーヴキャンバスが人気を高めた今のクルマの売れ行きには、いろいろな事柄が関係している。せめて好きなクルマを自由に選べる時代になって欲しい。
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