ATのBモードってバック? S、Mモードって何? なぜ最新車のシフトパターンはムズいのか

■ボタンスイッチ式を広く採用するホンダ

ステップワゴンe:HEVのシフトスイッチ
ステップワゴンe:HEVのシフトスイッチ
ステップワゴン(ガソリン車)のオーソドックスなシフトレバー
ステップワゴン(ガソリン車)のオーソドックスなシフトレバー

 日本メーカーで最もセレクトターの設定で先進的といえるのは、ホンダに違いない。

 コンパクトカーのフィットは一般的なストレート式レバー式を採用しているが、フリードではe:HEVモデルのみ電制シフトを採用するいっぽうで、他のガソリンエンジン+CVT仕様では見慣れたストレート式シフトレバーを設定している。

 CVTが市場で多数を占めるために、コストに配慮した一般的な仕様としたとも考えられる。

2022年5月登場のホンダ ステップワゴン
2022年5月登場のホンダ ステップワゴン

 対して、上位車種の新型車ではボタン式の採用を確実に進めている。まず新型ステップワゴン(5月26日発売)でのe-HEV仕様では「エレトリックギアセレクター」を採用。セレクターボタンのみ(Rポジションはプル式)の装備としている、ガソリンエンジン仕様にはストレート式シフトレバーが与えられている。

 シビックのトランスミッションは6速MTとCVTに加え、2モーターハイブリッドシステム採用の「e:HEV」(6月30日発売)では、アコード(セダン・ハイブリッド)から受け継がれたレバーを廃したボタン(プッシュ)式を採用。シビックでは細部の仕様も煮詰められ、反力を高めて操作性を向上させている。

ホンダはレジェンドやアコードなどボタン式がメインだが、新型シビック(ガソリン車)ではレバー式となった。マニュアルトランスミッションの設定とも関連があるはず
ホンダはレジェンドやアコードなどボタン式がメインだが、新型シビック(ガソリン車)ではレバー式となった。マニュアルトランスミッションの設定とも関連があるはず
2022年6月登場のホンダ シビックe:HEV
2022年6月登場のホンダ シビックe:HEV

■「e-POWER」とともに仕様の共通化が進む日産

日産 ノートe-POWERのシフトレバー
日産 ノートe-POWERのシフトレバー

 シリーズハイブリッドの「e-POWER」採用のSUVである日産エクストレイル(7月20日発表、同25日発売)は、シフトノブに近いような小型レバー(のシフト後に物理的な中立位置に戻る)の電制シフト機構を採用、N(ニュートラル)であることは表示で確認することになる。

 エクストレイルはノートと同様に全グレードでパワートレーンがe-POWERに統一されているため、コストも考えれば無駄のない設定といえる。

 日産のe-POWER車の最新仕様ではシフトレバーのデザインはほぼ共通化されてきた。ちなみに、リーフから続いているレバー上部にPポジションの選択ボタンが据えられているデザインは、e-POWERモデルでは新旧問わず共通となっている。

■BMWも小型が進む「シフトノブ」今後はどうなっていく?

ついにというべきか、マイナーチェンジを受けたBMW3シリーズはシフトレバーを廃止。変速ポジションの選択機構の操作をスイッチ式とした。むろん、ドライバーズカーとして全グレードでパドルシフトを採用する
ついにというべきか、マイナーチェンジを受けたBMW3シリーズはシフトレバーを廃止。変速ポジションの選択機構の操作をスイッチ式とした。むろん、ドライバーズカーとして全グレードでパドルシフトを採用する
シフトレバーが廃止されスイッチ(ボタン)式に変更されたBMW 3シリーズ
シフトレバーが廃止されスイッチ(ボタン)式に変更されたBMW 3シリーズ

 最後に輸入車のシフトレバーの変化を、ドイツ勢の代表例として取り上げておこう。BMW3シリーズはマイナーチェンジを受けて(9月20日発売)、フロント部の変更を含めて細部にわたってリニューアルを施している。

 BMWの基幹モデルとしては大胆とも思えるが、上級モデルから順次シフトレバーの「最小化」を進める流れを受けて、マイナーチェンジを受けた3シリーズでは、インテリアでもセンターコンソールにおいてシフトレバーを廃止して、スイッチ類のみの構成となった。

 方やの急先鋒といえるテスラのシフトレバーはどうなのか見ていくと、最新のモデルSでは、ボタン式かと思いきや、ステアリング右側にあるシフトレバーという、時代に逆行したシフトレバーを採用しているのがおもしろい。

 今後は、トヨタ車のように極めて小さいシフトレバー、日産車のEVやe-POWERに採用されているようなマウス式、ステップワゴンのようなスイッチ式など、いまやフロアにデカいシフトレバーを前後に移動させる昔ながらのシフトレバーは絶滅していくのではないか。

 いずれにしても高齢者が、いまどこのポジションにあるのかわかりやすい表示、そして急発進しない、間違えない方式のシフトレバーにするよう、徹底してもらいたいものだ。

【画像ギャラリー】電制シフトは激ムズ!? そしてすでに「レバー」ではない!! 最新車のシフトパターンとシフト変更装置(12枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!