元営業マンが解説! ディーラーのボディコーティング価格設定が高いワケと厳しい現実

価格差を生み出すのは施工台数と人件費

 ボディコーティングにかかる経費は、薬品の仕入れと施工する人の人件費が主である。施工台数が増えれば増えるほど、コーティング薬剤の仕入れが一括で大量になり、1個当たりの単価が安くなるのだ。その分、提供価格も安くできる。

 基本的には新車への施工が大多数を占めるディーラー。コーティング専門店やカー用品店に比べると、コーティングを施工する台数が少ない。そのため、部材の仕入れ単価が高くなり、価格競争では不利だ。

 また、施工にかかる人件費も高い。ディーラーの整備士にコーティングを施工させようとすれば、専門の技能が必要となり、教育に費用がかさむ。さらに、コーティング施工中には、他の仕事(整備や検査)が出来なくなり、ディーラーのサービス提供体制を圧迫してしまう。

 そのため、コーティングには外注業者を使うことが多いのだが、外へ頼む分、人件費も相応に高い。

 こうした経費を価格に転嫁しなければならず、ディーラーが提供するボディコーティングの価格は高くなっていくのだ。

ディーラー施工するメリットは? 営業マンがボディコーティングを勧める意味

最近はボディコーティング等の契約件数に応じて、インセンティブを支払うディーラーが出てきたため、新車販売時にコーティングを勧めてくる営業マンが多い(anko – stock.adobe.com)
最近はボディコーティング等の契約件数に応じて、インセンティブを支払うディーラーが出てきたため、新車販売時にコーティングを勧めてくる営業マンが多い(anko – stock.adobe.com)

 標準的なボディコーティングでは量販店に負けてしまうため、ある時期からディーラーのボディコーティングは高級志向に変わってきた。量販店が扱わない商品に注目し、輝きやはっ水力などにこだわっている。5年超の長期間効く高価なコーティングを探しているなら、ディーラーで高額なコーティングを施工してもらうのも悪くない。

 ただ、ノーメンテで1年から2年、メンテナンスを行っても3年程度で期限が来るコーティングに関しては、量販店や専門店で行う方が良いだろう。価格が安く、施工時間も早い。さらに専門をうたっているだけあって、仕上がりもきれいだ。

 筆者は現役営業マン時代、コーティングの施工を勧めてきた側の人間である。ユーザーのクルマへの興味度合いによって、勧めるものを分けていた。クルマはディーラーにお任せという人には、少し高いが自社のコーティングを勧め、クルマが好きという人には専門店での施工を勧めていたものだ。

 当時はボディコーティングに対するインセンティブがほとんどなく、筆者はこのような方法を取っていたが、今は少し様子が違う。

 新車の契約が取れても納車が1年後という状況。営業マンのインセンティブは登録(納車)ベースで支払われていくため、営業マンの報酬は厳しい状況が続いている。

 そこで、ディーラーの中にはボディコーティング等の契約件数に応じて、特別インセンティブを支払うお店が出てきた。そのため、営業マンは自社ボディコーティングの獲得に躍起になっている。

 コーティング選びは難しい。高いものには高いだけの理由があるが、そのメリットを自らが享受できるのかどうかが重要である。選択基準を一点に絞り、どこでどのコーティングを施工するのかを考えてほしい。

【画像ギャラリー】新車購入したらボディコーティングしたい!! 今年登場のニューモデルたちを画像でチェック!(19枚)画像ギャラリー

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!