ガソリン車は暖房使っても燃費に影響ないけど……EVってどうなの!?

ガソリン車は暖房使っても燃費に影響ないけど……EVってどうなの!?

 内燃機関モデルのクーラーは燃費に多少影響があるが、暖房はそうではないというのは常識。だが、電気自動車はどうなのか? 航続距離が短くなるとは思うのだが、超寒い時期などどうするのが正解!?

文/小鮒康一、写真/AdobeStock・ベストカーWeb編集部

■エンジン車の暖房は熱を有効活用!! 燃費にも影響なし

エンジン車の場合、暖房はエンジンから発生した熱を活用している。無駄がなく合理的だがエンジンが温まるまでは温風が出ない(Daniel Jędzura@AdobeStock)
エンジン車の場合、暖房はエンジンから発生した熱を活用している。無駄がなく合理的だがエンジンが温まるまでは温風が出ない(Daniel Jędzura@AdobeStock)

 朝晩にクルマに乗ったときは暖房を使いたくなる季節となってきた。一般的なエンジンを搭載したクルマの暖房はエンジンが発生した熱を有効利用しており、エンジンが暖まるまでは温風がでないという経験をした人も多くいることだろう。

 では熱源となるエンジンを搭載しない電気自動車において暖房はどのように暖かい風を生み出しているのか? そして電費や航続距離への影響はいかほどのものがあるのだろうか?

■EVの暖房は2種類あるも電費は悪化! 排熱を利用できないのがネック

PHEVモデルはエンジンがあるため、内燃機関モデル同様に使用可能!!
PHEVモデルはエンジンがあるため、内燃機関モデル同様に使用可能!!

 前述したように電気自動車は大きな熱源となるエンジンを持たないため、排熱を利用した効率のよい暖房機能を備えていない。

 ではどのような方式で暖かい風を生み出しているのかというと大きく分けて2種類あり、ひとつは「ヒートポンプ」、そしてもう一つが「PTCヒーター」というものだ。

 ヒートポンプというのは家庭用のエアコンでも多く使用されているもので、熱交換機によって外気の熱をエアコンの冷媒によって回収し、ポンプによって冷媒を加圧することで熱を発生させるというもの。つまりエアコンで冷やすのと逆の方式で熱を発生させるというワケだ。

 一方のPTCヒーターとは、電気抵抗の大きな素材に電流を流すことで熱を発生させ、その熱を車内に送り込んだり、その熱で水を加熱し間接的に車内を温めたりする方法となっている。

 前述のヒートポンプ式は一気に温度を上げることを苦手し、後者のPTCヒーターは即効性は高いものの、消費電力が大きいという弱点があるため、最近の電気自動車では両方のシステムを搭載し、状況に合わせて使い分けるというケースが一般的となっているのだ。

 ただし、どちらの暖房システムも、そもそも熱がないところに電気の力を使って熱を発生させるという根本の原理は同一であるため、電気自動車は暖房を使うと確実に電費が悪化してしまう。

 エンジンとモーターを併せ持つハイブリッド車であっても、エンジンを熱源とするために暖房使用時はエンジンがかかる頻度がアップしたり、ヒートポンプ式やPTCヒーターを搭載している車種であっても、前述のように熱を発生させるために電力を必要とするということは変わらない。

 そのため、結局のところ暖房を使うと電費や燃費はどうしても悪化してしまうというのが事実なのである。

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