代車はあればありがたいけど……ディーラーにとって代車の用意は果たして負担になっているのか?

■代替サイクル長期化による代車の需要増

 展示車や試乗車が手に入りにくくなった昨今、コロナや半導体不足の波は、代車不足にも追い打ちをかける。さらに、クルマが丈夫で長く使えるようになったことが、代車不足の原因になっているというのだ。

 乗用車における平均使用年数は、令和3年で13.87年となっている。1台のクルマを長く使えることはいいことなのだが、すなわちこれは同時に重い整備案件の数も増えていることになるのだ。

 昨今、ディーラーでの点検整備には、基本的に代車を必要としない「待ち」作業が主流だ。法定点検なら1時間程度、車検でも初回や2回目くらいまでなら2時間もあれば作業が終わる。ショールームの快適性を高め、作業時間中はお店の中で待ってもらえるように、店舗運営にも工夫をしているところが多い。

 しかし、3回目以降の車検では、交換部品などが増えていき、2時間という時間制限内で作業を終わらせることは難しくなる。さらに長く使用されたクルマでは、エンジンや足回りなど、交換や整備に時間がかかる不具合が増えていくため、整備の度に代車が必要となってしまう。

 クルマの寿命が長くなればなるほど、代車のやりくりが難しくなる。ディーラーの代車事情は、さらに厳しさを増していくだろう。

■すでに代車事情はパンク状態! 苦肉の策にレンタカーを出すお店も

ディーラーが、代車を用意するということが難しくなってきているため、代車としてレンタカーを用意するケースが起きている(Edler von Rabenstein – stock.adobe.com)
ディーラーが、代車を用意するということが難しくなってきているため、代車としてレンタカーを用意するケースが起きている(Edler von Rabenstein – stock.adobe.com)

 新車販売で安定的な利益を上げることが難しくなってきた近年では、整備や点検などのサービス事業に注力し、利益を確保しているディーラーが多い。

 整備を中心にお店を回すため、商売道具である試乗車も続々と代車に回されるケースが後を絶たない。さらに、それでも足りず、ディーラーがレンタカーを借りて、ユーザーに貸し出すという事態も起きてきた。

 代車を貸し出す際に、1時間〇円という使用料を取ることはないはずだ。ほとんどは無料サービスの代車だから、代わりに用意するレンタカーでも、その利用料をユーザーが払うことはない。現に、レンタカー費用はディーラーの負担となっていることが多いのだ。

 このレンタカー代が利益を圧迫する。レンタカーを出すことで、整備利益がほとんどなくなることもあると、関係者は嘆き節だ。

 ここ数年、ディーラーにとって代車を用意するということは、金銭的にも精神的にも負担が大きい。

 誰もが厳しさを感じるこの時代。ディーラーもユーザーも、厳しい立場なのは変わらない。ディーラーの窮地を救うためには、待ち作業での整備を増やす、レンタカー特約に入るなど、ユーザー側で協力できることもいろいろとあるだろう。できることは協力しながら、この難局をユーザーとディーラーが一緒に乗り越えていきたいものだ。

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