修理や整備で、ディーラーがクルマを預かる期間が長くなった時に活躍するのが代車だ。クルマを預かっている間、ユーザーに不便がないよう、ディーラーが貸し出すクルマが代車だが、最近全国のディーラーで、代車が不足している。
この背景には、半導体不足や新車納期長期化がある。また、クルマの保有年数が長くなっていることも一因だ。ディーラーにとって、代車を用意するということが難しくなってきている昨今、その様子を取材した。
文/佐々木 亘
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■いつ必要になる? どんなクルマが代車になる?
代車の取り扱いには、ディーラーごとにさまざまなルールがある。お店の規模(来店客数や保有客数)によって、代車の台数は概ね決まっており、それを融通し合っているのが通例だ。
代車が必要になるタイミングはさまざま。王道は車検(宵越しの預かり)や長時間かかる整備(リコール対応など)になる。ディーラー側としても、この2点に絞って代車を提供したいというのが本音だろう。
基本的に台数の決まっている代車は、多くのユーザーに利用してもらえるように運用していく。ひとりのユーザーに、長期間貸し出すということは、効率が悪いため本音としては行いたくない。例えば、自動車事故による作業で、修理に1カ月以上かかる場合、ディーラーは代車を出すのを渋りたくなる。
ディーラーが代車を出してくれるから、自動車保険のレンタカー特約は結ばなくてもいいと思っている人は、ここで一度立ち止まっていただきたい。
代車提供の壁は年々高くなっている。長期修理ではなおさら、代車の提供を受けられない場合があるため、日常的にクルマを必要とする生活をしている場合には、自動車保険のレンタカー特約を結んでおいてほしい。
話が少し脱線したので本線に戻そう。
試乗車と代車はまた別物だ。試乗車は、新車販売をするうえでの商売道具であり、店舗に常駐させて「売り」の活動に使いたい。つまり、代車には代車専門のクルマが用意されており、よほど困った状態にないかぎりは、試乗車を代車に出すことはないのだ。
台数が決まっている代車は、店舗内でも取り合いだ。場合によっては数カ月先まで、代車の予定がびっしりというお店もある。代車を利用して整備を受けたいという場合には、早めの予約が必須である。
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