新車を購入する際、皆さんは値引き交渉をするだろうか? お店で売っている商品には値札がついているが、新車の車両本体価格から値引きしてくれるとは知らなかったという人もいるかもしれない。
では、どのくらい値引きしてくれるのか? お店や地域の違いによって値引き額は変わってくるのだろうか? 謎だらけの新車の値引きについて、流通ジャーナリストの遠藤徹氏が解説する。
※本稿は2022年11月のものです
文/遠藤 徹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出/ベストカー2022年12月26日号
■値引き額の「構造」はめちゃめちゃ複雑
新車を購入する際の値引き額は極めて複雑な構造になっている。
自動車メーカーは、正規販売店に対して新車を卸売りし、正規販売店がユーザーに小売り販売する。その際に車両本体、メーカーオプションのマージン分と消費税を乗せ小売価格を設定する。
販売店が正規の小売価格を決めて販売するのが基本だが、大抵、メーカーが提示した希望小売価格をそのまま小売りする店頭販売価格として設定するケースがほとんどだ。
マージン幅はメーカーによって格差があり、ディーラーのマージンは車両本体価格の15~20%、メーカーオプション&付属品は10%程度といわれている。このマージンが値引き余力となるが、実際はこれだけではない。
販売店で取り付けるディーラーオプション、割賦購入の際の金融機関からのバックマージン、下取り車があればこの分の査定額に対する上乗せの引き取り価格分などもあるので、これらが実質的な値引き額の総額となる。
実際の値引き額は地域、店、購入時期、交渉するユーザーの交渉次第でも大きな差がつく。このため「新車の販売価格はあってないようなもの」といわれている。
車両本体価格だけをとって見ると、最近自動車メーカー各社は販売店のマージン幅を5%程度絞る傾向を強めているという。
しかしながら、総値引き額はそれほど引き締めていない。
メーカーやディーラーオプションの走行安全対策、利便性向上などの装備品が増え、この分のマージン20~30%の一部が値引きに振り向けられているからである。
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