かつて、クルマ好きから絶大なる支持を得ていたクルマのリアウイング。「高性能車の証」として、競うように巨大なリアウイングを装着していたが、近年はすっかり見かけることが減り、「あれは本当に効果あったのだろうか…」と思い返している方もいるのではないだろうか。
はたして、あの巨大なリアウイングは、クルマ好きの単なる見栄だったのか!? それとも効果はあったのか!?? リアウイングの本当の役割について考察しよう。
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:PORCHE、FERRARI、TOYOTA、NISSAN、HONDA、MITSUBISHI、SUBARU、ベストカー編集部
リアウイングは「ダウンフォースの発生」が役割
車体の後部に装着される空力パーツである「リアウイング」。クルマを後ろから見たときに、「門」や「鳥居」、T型のように見えるもので、比較的高い位置に取り付けられる。かなり派手な見た目になり、いかにも空力に効きそうなパーツだ。
このリアウイングは、おもに車体後部に「ダウンフォース(下向きの力)」を発生させて車体を地面に押し付ける効果を得るためのパーツで、車両後方に向かって上向きの角度に取り付けられる。走行時の風がここを通ると、空気の流れは上向きに曲げられ、それによって、ウイングの上側に流れる空気よりも下側に流れる空気のほうが速くなり、下側のほうが気圧が低くなることで、クルマを下に押し付ける力(ダウンフォース)を発生させることができる、という仕組みだ。
ただ、角度や大きさなどバランスを考慮しなければ空気抵抗が大きくなり、燃費悪化や最高速度の低下など、逆効果となってしまうこともある。
ただ、一般道での走行では、整流が主な役割
このダウンフォースは、クルマの速度が上がれば上がるほど重要。速度が速くなるにつれ、ボディの下部を流れる空気が乱れ、わずかながらボディを浮き上がらせようとする力(リフトフォース)が発生してしまうからだ。これはタイヤのグリップにも影響を与えるし、高速からブレーキングをして前方に荷重がかかるような状況だとさらに不安定になってしまう。
それを抑えるため、ダウンフォースは必要であり、もちろん、市販車であっても、高い速度域であれば、効果は期待できるが、一般道を走行している速度域だとダウンフォースの恩恵を感じるシーン(=高速走行におけるリアウイングの恩恵・効果)はまずなく、リアウイングがなかったとしても、安全に走行できなくなるわけではない。市販車の純正リアウイングの場合は、ダウンフォースの発生(=高速走行におけるリアウイングの恩恵・効果)というよりも、リアスポイラーと同じく、「整流」がおもな役割だったと考えたほうがよいだろう。
「整流」は、クルマが走行している際、ボディに沿って流れている空気が車両から離れるときに発生する、クルマを反対方向に引っ張ろうとする力(負圧)を抑えるため、空気の流れをなるべくスムーズに整え、燃費の向上や安定した走行ができるよう助けるというもの。燃費が重要視される昨今では、重要なアイテムだ。
コメント
コメントの使い方日本の一般道を走る分には、重心を上げて燃費を悪化させるドレスアップパーツに過ぎないんだよね。衝突事故が発生したら、破片による二次被害も起こす。
LB車とかは、ウイング大きいよね。