更新時の講習の簡素化や任意保険の保険料が優遇されるなどのメリットがある、優良ドライバーの証、ゴールド免許。しかし、「こんな違反でも!?」と思ってしまう交通違反で取り消されてしまうことも……。
文/井澤利昭、写真/写真AC
違反をすると即取り消し!? いま一度確認しておきたいゴールド免許証の条件
クルマの運転免許証には、表面の有効期限が記載された帯の色の違いによって、「グリーン」「ブルー」「ゴールド」の3種類があることをご存じの方も多いだろ。
このうち「グリーン」は運転免許を初めて取得した「新規取得者」。「ブルー」は、免許を受けている期間が継続して5年未満である「初回更新者」または、何かしらの違反や事故などを起こしてしまった「一般運転者」もしくは「違反運転者」が持つ免許証だ。
そして「優良運転者」と呼ばれるドライバーのみが持てるのが「ゴールド」の免許証。その取得には無事故無違反の状態で5年以上、運転免許証を保有している必要がある。
現在ゴールド免許を持っている人であっても、交通違反や人身事故などを起こしてしまうと次回の更新で「ブルー」へと格下げになってしまうのはもちろんだが、免許証の不携帯や泥はね運転といった反則金のみで違反点数が科されない違反であれば、ゴールド免許をはく奪されることはない。
また、事故を起こした場合でもケガ人がいない物損事故であればゴールド免許は継続となるが、人身事故や住宅、ビルなどの建物に損害を与えた場合、物損事故であっても当て逃げをした場合は「行政責任」や「刑事責任」が発生するため、ゴールド免許ははく奪されてしまう。
日頃からやっておかないと身につかないことも! 意外に重い歩行者妨害の罰則
クルマを運転するうえでは最も重要といっていいのが、交通弱者である歩行者の保護だ。これを怠った運転をしているとゴールド免許を失う違反につながる可能性がある。
警視庁が公表している平成30年から令和4年の過去5年間のデータによると、クルマと歩行者との衝突による死亡事故の約7割が、道路の横断中に起きている。
そんな状況もあってか、ここ最近、特に強化されている感があるのが「横断歩行者等妨害等違反」の取り締まりだ。
横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるにもかかわらず、徐行や停止を怠ったクルマが取り締まりの対象となり、違反すれば反則金9000円(普通車)、違反点数2点が加算されるため、当然、次の更新時にはゴールド免許がはく奪されることになる。
横断歩道のない交差点での妨害も同様に取り締まりの対象となるため、横断歩道のある、なしにかかわらず、交差点を通過する際は十分に気をつける必要がある。
また、歩道がない狭い道路で歩行者の近くを通る場合は、その間隔やスピードにも注意が必要。
安全な距離の確保や徐行を怠った場合は「歩行者側方安全間隔不保持等違反」となる場合があり、反則金7000円(普通車)と違反点数2点が科される可能性がある。
この他にも身体障がい者や幼児などが通行する道での一時停止や徐行を定めた「幼児等通行妨害」(普通車で反則金7000円・違反点数2点)などもあり、歩行者保護を怠ったとされる違反は、一発でゴールド免許を失う可能性が高い。
周囲の安全とゴールド免許を守るためにも、横断歩道が近づいたり狭い道で歩行者を見かけた際はアクセルを緩めるクセを日頃からつけておきたいものだ。
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