ドイツ御三家は古くからBEVを研究開発しており、14年にはBMWがi3を販売開始。それから10年の間に御三家のBEVラインナップは激増!! 3社が日本で販売しているモデル、およびこれから販売するモデルのうち、ここではSUVに絞ってラインナップを整理し、その違いについて考察していく。
※本稿は2023年7月のものです
文/片岡英明、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2023年8月10日号
■プレミアムEV「EQ」シリーズを擁するメルセデス
ドイツは積極的にEVシフトを進めていたが、ここに来て「2035年EV化法案」に反対の意を唱えるようになった。結局、エンジン車の販売継続は認められたが、EVシフトは明らかだ。
2023年5月のバッテリーEVの新車登録台数は前年同月比で46.6%の大きな伸びを見せた。その販売比率はディーゼルエンジン搭載車に迫る17.3%で、新車の6台に1台がEVという計算だ。日本よりはるかに多い。
コロナによる経済対策として補助金の額を引き上げたことが追い風となっている。VWに加え、メルセデスベンツとBMW、そしてアウディのドイツ御三家も、一充電での航続距離の長いSUVを中心に堅調な伸びを見せた。
アウトバーンを使って長距離移動することが多いドイツのEVは大容量のバッテリーを積み、航続距離が長い。また、駆動方式も前後にモーターを搭載した4WDモデルが人気となっている。
メルセデスベンツのEV専用ブランドが「EQ」だ。バッテリーをフロア下に収納しやすいクロスオーバーSUVを中心にシリーズを構成し、ラインナップも充実している。EQCと第2弾のEQA、そしてEQ初の7人乗りを実現したEQBも加わった。また、EQE SUVと豪華なEQS SUVも仲間に加わる。
EQシリーズは内燃機関と同じようにプレミアム性が高く、どれも快適だ。運転してすぐに馴染める自然な走行フィールも魅力に挙げられる。なかでも全長を小型車枠に収めながら7人が乗れ、4WDの350 4マチックを選べるEQBは幅広いユーザーのメガネに叶うだろう。
■コンパクトからプレミアムまで幅広いBMW
i3で時代に先駆けてEVに舵を切ったBMWのSUVがiXシリーズだ。
コンパクトクラスからプレミアムクラスまで3つのEVモデルをラインナップし、フラッグシップSUVのiXはスポーツカー顔負けのパフォーマンス。しかも速いペースで走っても電費の落ち込みが少ない。これはBMWのEVに共通する美点のひとつだ。
EVビギナーへのオススメは、日本の道路で運転のしやすさが際立つiX1である。X1のEV版だから走りのメカは最新だ。AmazonのアレクサやBMWアプリなど、最新のコネクティビティにも対応している。もちろん、BMWの「駆けぬける歓び」はEVの4WDでも健在だ。航続距離の不満も少ない。
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