■車両価格の高さやメンテ費用がかさむことも…ディーゼル車のデメリットとは?
燃料代も安く燃費も良好なうえ、パワフルな走りが可能というディーゼル車。一見、ガソリン車と比較していいこと尽くめように思えるが、当然デメリットがないわけではない。
まず新車購入時の重要なポイントとなる車両価格が、ガソリン車と比較してディーゼル車が割高な場合が多い。
MAZDA2の場合、主要装備がほぼ同じグレードのモデルを比較すると、ガソリンエンジン搭載の15 BD(2WD)の価格が174万1300円(税込)であるのに対し、ディーゼルエンジンのXD BD(2WD)は208万4500円(税込)と、実に30万円以上もの価格差がある。
さらにディーゼル車は、日頃のメンテナンス費用もガソリン車に比べて割高である点も知っておきたい。
その理由は、オイルの交換のスパンがガソリン車の半分程度と短いうえ、排ガスを浄化するための尿素SCRシステムを搭載している車種では、装置を動かすためのアドブルー(高品位尿素水)の補充が必要となるなど、ディーゼル車ならではのメンテナンスが必要となるからだ。
またディーゼル車の燃料である軽油は、気温が低くなると凍結する可能性がある点も注意が必要。
寒冷地で供給されている軽油には、凍結を防止するための添加剤が入っているため問題ないが、暖かい地域で給油した軽油のままで寒い地域へ向かうと、軽油の凍結によってエンジンが始動ができないといったトラブルに見舞われるおそれがあるわけだ。
さらにディーゼルエンジンは、その構造上耐久性が高いといわれる反面、燃焼の力が強く大きな負荷がエンジンにかかるため、ストップ&ゴーの多い街中での使用が多いと、ガソリンエンジンよりも寿命が短くなることも。
その他にも、ガソリン車では新車登録から13年を超えると上がってしまう自動車税の上乗せが、ディーゼル車では2年短い新車登録から11年で始まってしまうなど、長く乗りたいと思っている人にとっては、税制面でのデメリットがあるのも痛いところだ。
先ほども少し触れたとおり、エコカー減税での優遇も2023年いっぱいで終わりを迎えるなど、時代の流れはディーゼル車に厳しくなってきているといわざるを得ない。
■脱炭素化社会への流れには抗えない!? ディーゼル車はいつまで乗れる?
一時はエコカー選びの選択肢のひとつとしてもてはやされたクリーンディーゼル車ではあるものの、ここ最近の急速なクルマの電動化の動きのなか、その存在感が薄れつつあるのは事実だ。
脱炭素社会の実現を目指す一環として2022年10月には、欧州地域における二酸化炭素を排出する乗用車と小型商用車の新車販売を2035年までに禁止されることが決定。
日本国内でも2030年代半ばまでには新車販売されるクルマの完全電動化を実現できるよう包括的な措置を講じることが、政府が目指す「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」のなかで謳われている。
とはいえ、ディーゼル車をはじめとする内燃機関で動くクルマが街中や市場から突然姿を消すとは考えづらく、当分の間は生き残り続けることは間違いない。
いまディーゼル車に乗っている人からすると「このままでは自分の愛車のリセール価格が暴落してしまうのでは!?」とやきもきしてしまうかもしれないが、年式や車種によって差はあるものの、クリーンディーゼル車であれば、しばらくはリセール価格にも大きな影響はないだろう。
いっぽうで気をつけなければならないのが、首都圏を中心にいくつかの都道府県が定める条例により、当該の地域では走行禁止など規制の対象となっている古いディーゼル車の場合だ。
これに該当する車両は、中古車取扱店での買い取りや下取りが厳しく、場合によってはそのまま廃車扱いになってしまうケースも少なくない。
いまのところは規制が厳しくない海外の国や地域に販路を持つ業者ではあれば、こうした古いディーゼル車でも買い取ってもらえる可能性はあるが、脱炭素化や電動化の流れは、今後それらの地域にも広がっていくことはまず間違いないだろう。
ランクルやプラドなど、古いディーゼル車のなかには魅力的なモデルも多いが、それらのクルマにこれから乗るというのであれば、相当な覚悟が必要となってくる。
メリットや魅力的な部分も多い反面、つい先日にはボルボが2024年初めまでにディーゼル車の生産を終了することを発表するなど、ディーゼル車を取り巻く環境はどんどん厳しくなってきている。
燃料費など目先の安さにばかりに目を奪われず、良い点と悪い点をしっかりと知ったうえで、自分のカーライフに合ったクルマ選びをしたいものだ。
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