ひと昔前は当たり前のように使っていたものの、現代の若者にとっては「意味不明な死語」となってしまっているクルマ用語。そんな死語になりつつある用語とは?
※本稿は2024年1月のものです
文/楠田圭子、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年2月10日号
■安全確保どころか眠くなる「キンコン」
若い世代の多くは見たことも聞いたこともないと思う。1974~1986年、普通車で100km/h以上、軽自動車で80km/h以上の速度になると「キンコン♪ キンコン♪」と音が鳴る速度警告音装置、通称「キンコン」と呼ばれていた装着が義務づけられていた。
このキンコン。一定のリズムで鳴り続けるため、眠気を催すと大不評。スピードの出しすぎが減らせたとしても、居眠り運転が増えては本末転倒な装備だった。
廃止の理由は明らかにされていないが、海外自動車メーカーからキンコン装着義務化という保安基準が非関税障壁になっている、との反発を受けたことが、大きな要因ともいわれている。
■寒さにとことん弱い!「キャブレター」
キャブレターとは、エンジン内部に供給される混合気を機械的に行う装置。
コンピュータを使用しないため燃料の濃さなどを調節できたものの、一度決めた設定を走行中に変更することができなかった。そのため、気温の低下などの外的要因によってエンジンがかかりにくくなるなどの不調が生じやすい、という難点があった。
この装置はコンピュータが状況に応じて濃度を調整した混合気を噴射する、インジェクションの登場とともに姿を消すこととなった。
■黒板に字を書く道具じゃないよ「チョーク」
前項のキャブレターの弱点を補う装置がチョークだ。
チョークを引くとキャブレター内の弁が閉まり、キャブレターへの空気の流入量が減ることで燃料が濃くなり、着火しやすくなる。これで気温が低くてもエンジンが始動しやすくなるという仕組みだ。
つまり、キャブレターがなくなればチョークもなくなるのは必然。結局、インジェクションの普及とともに、完全に姿を消してしまった。
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