■BEVは踊り場になった
「エンジンを作ってきた皆さん、エンジンを作り続けましょう!」
モリゾウのその言葉を、私は東京オートサロン2024のトヨタブースで直接聞いた。そして、こう思った。「これが、社会の現実なんだ」と。
モリゾウの言葉の文脈は、電動化への転換が進むなか、エンジンに関わる企業が銀行から融資が受けられない場合がある、という話を耳にしたからだという。
また、モリゾウが世界各地でクルマに関わる多くの人とコミュニケーションをとるなかで、エンジンの必要性を再認識したということだ。
つまり、モリゾウという「ひとりの人間」として、素直な気持ちを表現したのだと思う。そこに、マーケティングやブランディングといった計算された戦略をほとんど感じなかった。
見方を変えれば、いわゆる「100年に一度の自動車産業変革」を進めることは極めて難しいのだと思う。
■クルマのあり方を再定義する
時計の針を少し戻すと、メルセデス・ベンツ(当時はダイムラー)が2010年代半ばに、次世代事業に対するマーケティング用語としてCASEを提唱した。
コネクテッド、自動運転、シェアリングなどの新しい事業、そして電動化が連動して社会におけるクルマのあり方が大きく変わるのだと主張した。
同社は20世紀から21世紀への長きにわたり、自動車産業技術におけるリーダーとしてグローバル自動車産業界を牽引してきた。だから、多くの人が「CASE時代が本格化する」と信じ、日本でも大手マスコミがCASEを一般名詞のように扱った。
そして、CASEに対してグローバルな投資バブルが起こった。いわゆる、ESG投資である。従来の財務情報だけではなく、環境、社会性、ガバナンスを重視した企業への投資を指す。
ESG投資は、欧州、アメリカ、中国の間での政治色の強い経済政策となっていった。
具体的には、欧州グリーンディール政策、IRA(インフレ抑制法)、そしてNEV(新エネルギー車)に関連する政策として、国や地域の思惑が複雑に絡み合っている状況だ。
だが、社会の現実は、一気に電動化するための社会インフラが充分に整っていない国や地域があることが明らかになってきている。
最近、自動車メーカー各社の幹部が「BEVは踊り場になった」という表現を使う。そこには政治主導で進んできたESG投資バブルの反動だけではなく、もっと根深い問題があるように思う。
それは、社会におけるエネルギーマネージメントという大きな括りのなかで、BEVなどクルマのあり方を再定義する必要があるということだろう。
そうした社会の現実を、モリゾウを含めた自動車産業に関わる多くの人が認識し始めているように感じる。
このタイミングで「エンジン再び論」が登場した背景には「人とクルマ」、また「クルマと社会」について、腰を据えてじっくり考えていくべき、という思いがあるのではないだろうか。
今、自動車業界全体として、次の時代に向けた現実解を議論するべき時期だと思う。
(TEXT/桃田健史)
■クルマの「夢」と「実用性」を追求
「電気自動車の時代が来るというのに今さらエンジンなのかよ」と思う前に検証しなければならないのは「どんなエンジンか?」だと思う。
詳細を公表していないけれど、画像を見る限り比較的大きい4気筒の過給エンジンと、驚くほどコンパクトな3気筒以下のNAエンジンのようだ。前者は当然のことながらハイパワーユニットである。考えられるとすれば3気筒1.6Lの4気筒版です。
1.6Lで300ps。こいつを2.2Lの4気筒にすれば400psということになる。トヨタ以外のメーカーだと燃費規制あるため作ったって売れない。
いや、トヨタはカーボンニュートラルに対し、さまざまな山の登り方があると言っているため、水素を燃料にしても、eフューエルを使っても、バイオメタノールを使っても回るエンジンを考えているかもしれません。
搭載する車両は2022年のオートサロンに出展した『GR GT3』のようなモデルが考えられる。世界規模でエンジンを使うスポーツモデルが絶滅していくなか、熱や音や空気の波動のある内燃機関を残そうということだと思う。
マルチフューエル対応にしておくことで、さまざまな用途に使えることだろう。おそらく自動車史最後のハイパワーエンジンになるんじゃなかろうか。
もうひとつのコンパクトなエンジンは、これまた推測ながら発電機専用だと考えます。
今や世界規模で「HEVやPHEVであってもエンジンを搭載してはダメ」という流れになってきているが、少なくとも2050年までガソリンを入手できるワケ。逆に考えたら2030年代中盤までエンジン搭載車は販売できるということになります。今年が2024年なので10年余だ。
決して短い期間じゃない。しかもBEVの本格的な普及まで何年かかるかわからない。2026年かもしれないし、2033年くらいになるかもしれない。誰も予想できない。
その間、一番コストパフォーマンス高いのは、電気だけで200kmくらい走れるBEVに小さな発電用エンジン搭載するPHEVだと私は考えている。500km走れる電池を積むより安価で効率よい。
コメント
コメントの使い方トヨタは計算してるんじゃないかな。
日本全体がEV車両になれば電力供給が難しくなることも知っているのでは?
ガソリンスタンドが地下タンクの交換費用 3000万ー4000万を捻出できないのに… EV車の普及にはその倍の何億円もかかるのにその費用を捻出することができるのかな!?
古い車を重税にしてまでやるべきこととは思えない。
発電用エンジンでは、ダメ出しにしかならない。SNSでイーパワーの発案者が「エンジン」をどう提案したのか公開されてるから、参考に先を考察してみたらいいかも。