世界的にも強さを見せるトヨタ。2023年1月から12月の世界販売台数は、グループ全体で約1123万台。2位のフォルクスワーゲンに大きく差をつける4年連続の世界一だ。なぜトヨタは強いのか!?
※本稿は2024年2月のものです
文/桃田健史、片岡英明、鈴木直也、写真/ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
■独自性を持つ販売力の強さ
トヨタの販売店は東京の一部を除き、地場資本であり、各地での売り方には多少の違いがある。そのうえでどのトヨタ販売店の営業方針も積極的だ。
例えば、各社オリジナルでキャンピングカーを製作してディーラーで販売するなど、幅広い営業活動をしている場合もある。
要するに、トヨタ国内営業とトヨタ販売店各社との関係として、販売店が独自采配できる領域が事実上、大きいのだと思う。
そもそも、自動車産業はメーカーが製造と卸売、販売会社が販売と修理を行うという製販分離の業界構造だ。そのなかで、トヨタ販売店の独自性をトヨタ国内営業が許容する絶妙のバランス感を保っている。
それができるのは、やはり取り扱うモデルが多いからだ。しかも、今や販売系統に限らず全モデルを販売できる時代。販売店各社は今後、さらに独自性を追求することになるだろう。
北米市場でも、基本的には米国販売本部とトヨタディーラー各社との関係は日本と大きな違いがあるようには思えない。
ただし、アメリカの場合、販売店が一気に新車を仕入れて自社在庫としてさばくというビジネスモデルが長年にわたり続いてきた。そうなると、販売店各社はそれぞれの地域での他社販売店の動向をしっかり把握して、発注量をコントロールする必要がある。この部分で、トヨタ北米営業本部の本領が発揮される。
また、販売店が独自サイトを通じて在庫状況を顧客に公開する場合もあり、ユーザーによっては居住地から少し離れたところにある新車を車体番号で指名買いをすることも珍しくない。こうしたシステムをトヨタ販売店は他社より早く導入したと考えられる。
(TEXT/桃田健史)
■デパート並みの充実した車種ラインナップ
トヨタは日本が誇るグローバル企業だ。1000万台の販売量を誇る優良企業で、商品の開発能力は飛び抜けて高い。ラインナップは驚くほど充実している。デパート並みの品揃えで、スモールクラスの2ボックスから副変速機を装備する本格派のクロカンSUVまで、選択の幅は広い。
市場規模が縮小傾向のセダンでさえ、カローラからセンチュリーまでクラス別に用意した。世界中で人気のクロスオーバーSUVも、ヤリスクロスからクラウンまで豊富に揃えている。さらに本格派のSUVが欲しい人にはタフなランドクルーザー一族を用意した。
トヨタのスゴイところは、販売量が少なくなった日本市場を見捨てていないことだ。ヤリスやシエンタは全幅を小型車枠の1700mm以下に抑え、取り回し性にも強くこだわっている。ハイエースなどの商用車を含め、ユーザーのことを最優先して開発し、使い勝手のいいクルマを多く揃えた。
販売チャンネルを統合し、全車種販売に切り替えたが、サービスを充実させ、トヨタファンを引き止めることに成功している。
また、最近は新型車を投入する間隔が延びているメーカーが多いが、トヨタはクラウン、アルファード/ヴェルファイア、ランクルなどを次々に新型に切り替え、レクサスにも魅力的な新型車を積極的に送り出した。
しかも高品質で、信頼性が高い。これも強みのひとつだろう。万一、トラブった時でも、迅速に安心感のある対応をしてくれる。
(TEXT/片岡英明)
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