一般のドライバーが自家用車で乗客を有料で運ぶいわゆる「日本版ライドシェア」が2024年4月8日から東京都(23区など)で全国で初めてスタートした。順次、名古屋や京都など他区域でも始まるが、今後の課題などについて国沢光宏氏が指摘する!
文/国沢光宏、写真/AdobeStock(トビラ写真:One@AdobeStock)
■タクシーを使うよりもライドシェアのほうが安心&安全?
『ウーバー』という名のライドシェアが始まったのは14年前の2010年。今やライドシェア禁止国って超少数派になってしまった。
ちなみにライドシェアのメリットといえば、1)安心、2)安全、3)便利、4)安い、5)快適といったもの。この5点、日本だとタクシー業界がすべて反対の主張をしており、皆さんライドシェアを「危険」だと考えているようだ。以下、改めて紹介したい。
テレビの街頭インタビューを見ると「事故が心配」みたいに答える。それホントか? 内閣府のWebサイトによれば「タクシーの交通事故率は普通乗用車の1.5倍以上、トラックの約4倍、乗り合いバスの6.7倍」とある。
実際、タクシーの事故は少なくない。仕事柄、いろいろな人のクルマに同乗するけれど、タクシーのほうが平均速度は高く、危ないと感じることだって多々あります。
しかも事故になった時の安全性で考えると、圧倒的に普通の乗用車が優位。JPNタクシーであればサイド&カーテンエアバッグ付きながら、セダンタイプのタクシー専用車だと助手席エアバッグすら付いていない。
なのに、助手席に乗る人さえいる。追突でもしたら顔面ぐちゃぐちゃですよ。1.5倍の事故率なうえ、満足な安全装備のないタクシー、安心で安全だと思うのだろうか?
■なぜ世界中でライドシェアが人気なのか?
「知らない人のクルマに乗るのは怖い」という意見も多い。おそらくライドシェアの知識がないのだろう。今やヤフオクやメルカリなど個人間の売買は抵抗なく行われている。なぜかといえば、仲介業者がさまざまな安全策を取り入れているためだ。
出展者だけでなく、購入者の評価もキッチリ行い、過去の実績やトラブルなどはしっかり残る。さらに金銭の授受は業者を介して行われる。
ライドシェアも同じ。私が練馬の自宅から羽田空港まで行きたいとしよう。タクシーであれば『Sライド』や『GO』というアプリを使うけれど、車種やドライバーは「ガチャ」です。
ライドシェアなら車種やドライバーの評価、料金情報まで付いた「呼べるクルマ」のリストが出る。そのなかからお好みのクルマを選べばいい。すべての点でタクシーに勝るため、世界中で人気なのだった。
翻って我が国はどうか? タクシー業者は地元の名士なので政治家との距離が近い。そして手強いライバルになること間違いないライドシェアに大反対である。
■背景にあるのはタクシー運転手の人材不足
地方のタクシー業者にとって、自宅から病院までのお客さんは大得意。人口密度の低い地域だと、病院までタクシーで3000円(8km)なんて普通。往復6000円。そんな仕事が10回もあれば、そこそこの売り上げになる。
ライドシェアで近隣に住む人が「同じ方向に行く用事あるので乗せていきましょう」になり、料金を1000円に設定したらどうか。もうタクシーなんか使わない。ライドシェアが普及したら、おそらく地方のタクシー業者は”ほぼ”全滅するんじゃなかろうか。
タクシー業界としちゃ当然のことながら激烈反対でしょう! そんなことでライドシェアは日本で解禁しなかった。 しかし! ここにきてタクシーの運転手不足が深刻化。平均年齢も60歳程度になり、加えてコロナ前より20%減った。
実際、夜間や雨の日など完全なタクシー不足だ。先日、沖縄県の「うるま市」の居酒屋で飲んでタクシーを呼ぼうとしたら、お店から「ウチで呼んでもこないんです」。はたまた、東京の練馬ですら、雨の日はSライドやGOを使ってもタクシーがいない。
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