昨年(2018年)7月5日に発表発売した、新型(4代目)ジムニー、ジムニーシエラの人気が止まらない。現時点(2019年9月下旬)でディーラーに問い合わせると、納期はなんと「2020年末から2021年」と言われるそう。スズキとしては増産を発表しつつ工場をフル稼働させているものの、まだこの売れっぷり。
いったいなぜこれほどまでに新型ジムニーの納期は縮まらないのか? そして発売直後から噂になっている「ジムニーに5ドア追加」という噂はどこまで信頼性があるのか? あるとしたら、「それ」はいつ頃か。流通ジャーナリストの遠藤徹氏が、スズキ関係者と販売店に取材してお伝えします。
文:遠藤徹 写真:ベストカー編集部、SUZUKI
■【写真ギャラリー】納期が縮まらない新型ジムニーと5ドア版(CG)
■増産しているが、海外で大人気でもあり
スズキの現行ジムニーが発売になってから1年3ヶ月が経過した。
今年(2019年)1~8月の販売台数はジムニーが2万872台、月平均2609台で、前年同期に比べて55.1%増。ジムニーシエラは7558台、同945台、390.1%増と、両モデルとも依然好調な販売推移となっている。
2019年9月下旬現在の納期は、ジムニー、ジムニーシエラ、どちらも「約1年半」と説明する扱い店がほとんどである。
今年春先には「10ヶ月程度」といったん短縮していたのが、今夏以降また長期化傾向に逆戻りしている。ディーラーでは、
「増産しているが、国内だけでなく(シエラを)海外もヨーロッパを中心に引き合いが多いため、あちらに取られてしまっているのが要因として上げられる」(首都圏スズキ店、アリーナ店)
と説明する。
受注が引き続き旺盛のため、コンピュータの台数処理が対応できず、オンラインで各店舗に正確な納期が提示できなくなっているのが現状のようだ。
これにはスズキの新車の流通経路は複雑なことも影響している。
スズキ店、アリーナ店の正規代理店はメーカーから新車を仕入れ、ユーザーに直接販売しているが、いっぽうで取り引きのある副代理店や小規模な業販店に卸し売りをし、そこからユーザーに販売しているケースもある。
以前はスズキ店が軽自動車、アリーナ店は小型車(ソリオなどの登録車)を中心に扱っていたが、最近は両系列店とも軽自動車、小型車を売り、区別がなくなっている。なかにはスズキ店の営業所とアリーナ店の両方の看板を掲げている店舗もある。
こうした複雑な流通経路が高人気のジムニーシリーズの納期を混乱させる要因のひとつにもなっているようだ。
ユーザーから注文を受け、メーカーに発注するのが基本だが、副代理店や業販店の中には売れるのを見込んで正規店にジムニーやジムニーシエラを受注したものとして(実際は受けていないのに見込みで)多数発注したりするケースもある。
業販店は全国で5万店もあるので、1台発注しただけでトータルだと5万台にもなってしまう。前受け金は1台1万円で可能だから、それくらいならと各店舗が負担しても苦にならない。ユーザーが決まっていなくても人気モデルだから、長期在庫になる心配がないという読みもある。
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