■コンパクトSUVのエンジン車、HVにはない静粛性の高さと加速フィールのよさ
今回、オフロードでの試乗ができなかったのは残念だったが、都内の一般道と首都高を思う存分走ることができた。
運転席に座り、インパネ回りを見渡すと左右に長いエアコン吹き出し口とダッシュボード下の長い収納スペース。その下にはユニクロのミニショルダーバックが入りそうな大型センターコンソールボックスがあり、収納スペースが豊富なので普段使いにもよさそうだ。
全長4mクラスのクルマは安い価格帯のため、あまり作りや質感にこだわらない場合が多いが、アベンジャーはその価格に合ったクオリティを持っており、デザインは若々しく、スイッチ1つとっても質感が高く精微な日本車のそれにも負けていない。
10.25インチのナビも大きくて見やすい。Apple CarPlayおよびAndroid Autoに対応可能し、「ジープ・モバイル・アプリ」を使って、車両の位置を特定したり、リモートでドアのロックやアンロック、バッテリー残量の確認もできる。
ダッシュボード下のシフトボタン(P-R-N-D/B)をDに入れて走り出す。少しアクセルを踏んだけですぐに反応し、力強い加速フィールが味わえる。EVならではの感覚だ。かといってトルクの落ち込みはなくスムーズ。
全長4m以下のたいていのコンパクトカーは、路面の凹凸を拾うと左右に揺れ、そのショックをうまく吸収しきれず、“それなり”の乗り心地であることが多いが、このアベンジャーは一線を画している。
さらにいうと、このクラスのエンジン車と最も違うのは、3気筒エンジンの騒がしさと(HVでも)、アクセルをいくら踏んでも思った通りに進まないCVTのもどかしさが、BEVのアベンジャーに感じられないことだ。静かだし、速い! ガソリン車ならば2.5~3L級の感覚だろうか。
乗り心地もバタバタ感はなく、ボディをしっかりいなしている。バッテリーという重量物をフロアに積んでいるためか(車重は1570㎏)、それが逆に功を奏している印象。忖度してるだろと言われそうだが、1クラスいや2クラス上の、コンパクトSUVらしからぬ乗り心地と言っておきたい。
操舵フィールもSUVというよりは乗用車(小さな高級車!)に近い感覚だから、都内一般道の渋滞や狭い脇道に入ってみても“ジャストフィット”。この表現が正しいかわからないが、ストップ&ゴー含め、とにかくどこへ行っても運転がラクなのだ。
走りの上質さは、高速道路で乗っても大きく変わらなかった。車体がヒョコヒョコするような安っぽいピッチングはないし、コーナーでのロール感も少なかった。ハンドルは軽めだが、80~100km/hの高速域でも中立付近をしっかりと保ち続け、直進安定性も良好だった。スポーツモードにすると制御が俊敏になるが、ノーマルモードでも充分速く感じられた。
【画像ギャラリー】あのチェロキーの再来!? ジープアベンジャーの凄い中身を写真でチェック!(10枚)画像ギャラリー■長時間大人4人が座れる? 唯一不安要素の大きかったアベンジャーの室内空間
さすがにヤリスクロスサイズなので、シートに座る前から「サイズが小さいから窮屈だろうなあ」と半ばあきらめていたアベンジャーの室内空間。運転席に身長175cmの人が最適なポジションに座って、後席に座ってみたが頭上空間、膝前空間ともにこぶし1つが入った。
ちなみに身長160cmの女性が座った場合、頭上空間、膝前空間ともに、こぶし2つ~2つ半ほどのスペースだった。広いとはいえないが窮屈でもない、「ギリギリだけど広さは充分じゃね」という感じだろうか。ラゲッジルームは355Lの容量で、普段の買い物でも充分使える広さだ。
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