先代フィットからどう進化した?
新型フィットのボディサイズは、SUVスタイルのクロスターを除くと5ナンバー車で、全長も4m以内に収まる。先代型とほぼ同じ大きさだ。
プラットフォームは先代型と共通化され、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2530mmで先代型と等しい。
燃料タンクは前席の下に搭載され、荷室の床下には大容量のアンダーボックスも装着した。後席の座面を持ち上げると、車内の中央に背の高い荷物も積める。これらの特徴は先代型と共通だ。
その上で進化、あるいは変化した点も多い。注目されるのは外観だろう。新型はボディ全体に丸みを持たせ、特にフロントマスクは、クロスターを除くとグリルの開口部を薄く見せて柔和な印象に仕上げた。
フロントピラー(柱)は2本配置した。前面衝突時の衝撃は、ドライバーから見て手前側のピラーで吸収する。
そのために奥側はマド枠の機能になり、細くデザインできた。視界がワイドに開け、斜め前方も見やすい。ピラーが細いために、フロントウインドウ左右端の歪みが若干見えるが、気になるほどではない。
後方視界も向上した。先代型ではサイドウインドウ下端を後ろに向けて大きく持ち上げたが、新型は水平基調になってスッキリと見やすい。
インパネの形状も変わった。視界も考えて、インパネ上面を平らに仕上げている。運転するとボディが少しワイドに感じた。
インパネも水平基調で、立体感が乏しく質感の演出では不利だが、シンプルな使いやすさを表現した。2本スポークのステアリングホイールも珍しい。
メーターはデジタルのみ。スペースの節約とコスト低減も採用の目的だが、多彩な情報を表示できて、カラー液晶だから視認性は良い。
エアコンのスイッチは比較的高い位置に装着されて操作しやすい。シンプルなデザインと、視界を向上させたボディスタイルは、両方とも「親しみやすく、心地よく使えるクルマ作り」の考え方に基づく。
過去を振り返ると、2001年に登場した初代フィットは、燃料タンクを前席の下に搭載して、抜群に広い室内を確保した。
2007年に発売された2代目は、初代の機能を洗練させ、ハイブリッドも加えて堅調に売れた。
2013年の3代目(先代型)は、サイドウインドウの下端を後ろに向けて持ち上げるなどスポーティ感覚を表現したが、リコールが重なったりN-BOXにユーザーを奪われて売れ行きは伸び悩んだ。そこで4代目の新型は、親しみやすさと心地よさを大切に開発されている。
新型フィットの開発責任者、本田技術研究所四輪R&DセンターLPL主任研究員田中健樹さんは、
「コンパクトカーのお客様は、実用的な機能に満足しても、雰囲気や情緒に物足りなさを感じることが多い。新型はこの点に注目して、デザイン、視界、シートの座り心地などを心地よく仕上げた」と言う。
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