NAエンジンとe:HEVの走りの違いとは?
自分の好みに応じて、5つのグレードを選んだら、次に気になるのはNAエンジンとe:HEVのどちらにするかだ。NAエンジンは、先代型には1.5Lもあったが、新型は1.3Lのみだ。さっそく、乗り比べてみたい。
動力性能は平坦路なら不満はないが、登坂路になるとややパワー不足。車両重量は2WDのホームで1090kgだから、1.3Lエンジンは負荷が少し大きい。
3000回転付近を超えると加速が活発になって吹き上がりも機敏だが、車両重量とのバランス、コンパクトカーの性格を考えると、もう少し実用回転域の駆動力を高めたい。
エンジン負荷が大きいため、アクセルペダルも深く踏みやすく、遮音は入念に行ったがノイズは少し粗く聞こえる。
その点でe:HEVは快適だ。基本的な機能はインサイトやステップワゴンと共通で、エンジンは発電機を作動させ、駆動は専用のモーターが受け持つ。
エンジンが直接駆動するのは、その方が効率の優れた高速巡航時だけだ。従って電気自動車と同様、アクセル操作に対してモーターが機敏に反応する。
加速は滑らかでノイズも抑えられ、動力性能はガソリンエンジンの1.8~2Lに相当するから余裕がある。先代フィットハイブリッドと比べても加減速は滑らかだ。
ステップ変速制御も採用した。有段式ATのように、エンジン回転数が上下動しながら速度を高める。
e:HEVはモーター駆動だから、エンジン回転を上下させる機能的なメリットはないが(燃費効率ではマイナスになる)、演出は巧みで有段AT車を運転している気分を味わえる。
一定の回転数でエンジンが回り続ける制御に比べると、ノーマルエンジン車から乗り替えた時の違和感は少ない。
ちなみにフィットでは、NAエンジンもステップ変速を行うが、フルにアクセルペダルを踏み込むと、6000回転まで高まって一度5000回転に下がり、再び6000回転まで上昇する。ここまで回す機会は少ない。
e:HEVの価格は、装備が異なるベーシックを除くと、NAエンジンに比べて34万9000円高い。ステップワゴンの場合、1.5Lターボと2Lのe:HEVとの価格差が約50万円だから、フィットのe:HEVは高機能な割に価格が安い。
しかもホーム同士で比べると、購入時に納める税額がe:HEVは約3万円安く、実質差額は約32万円に縮まる。
そこで実用燃費をWLTCモード数値、レギュラーガソリンの価格を1L当たり150円で計算すると、1km当たりの燃料代はノーマルエンジンが7.4円、e:HEVは5.2円だ。
後者は1km当たり2.2円安く、32万円の実質価格差を燃料代の節約で取り戻せるのは14万~15万kmを走った頃になる。
フィットに限らずコンパクトカーは、NAエンジンの燃費数値も優れている。そのために実質価格差を燃料代の差額で取り戻すのは難しいが、新型フィットのe:HEVは、動力性能、加減速の滑らかさ、静粛性などを大幅に向上させた。上級エンジンとしての価値もあるので、予算に余裕があるなら積極的に検討したい。
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