新型フィットの〇と×
■新型フィットの〇なところ
クロスターを除くと、5ナンバーサイズのコンパクトなボディによって運転がしやすい。現行型は視界も向上して、取りまわし性がさらに良くなった。全高は1550mm以下だから立体駐車場も使いやすい。
その一方でボディサイズの割に車内が広く、特に後席と荷室は、全高が1550mm以下のコンパクトカーでは最大の容量となる。4名乗車時の居住性や荷室の使い勝手も優れ、買い得なファミリーカーに仕上がった。
コンパクトカーとしては走行安定性が優れ、乗り心地もおおむね満足できる。e:HEVは動力性能、加速の滑らかさ、静粛性などが優れている。
シートの座り心地もいい。おそらく最近のコンパクトカーのなかでは一番コストをかけているのではないだろうか。フロント、リアシートともに厚みがあり、しっかりとした作りでサポート性も高く、長時間乗っても疲れなさそうだ。
ドアを閉める際の音も欧州車のように心地いい。軽量化だけでなく断面の構造を改良することでコンパクトカーとは思えない閉まり音を実現している。
価格は以前に比べて高まったが、自転車も検知可能な衝突被害軽減ブレーキ、全車速追従型クルーズコントロール、サイド&カーテンエアバッグなどの標準装着を考えると納得できる。
■新型フィットの×なところ、注意点
ボディスタイルやデザインの見直しで視界と取りまわし性は向上したが、フロントマスクや内装のデザインは、好みの分かれるところだろう。
本革巻きステアリングホイールはニーズの高い装備だが、リュクスとハイブリッドのホームに標準装着されるだけだ。
ほかのグレードはすべてウレタンのみになる。助手席の前側にはソフトパッドも入るので、質感に格差が生じた。デジタルメーターも、カラー液晶だが好みが分かれる。
後席は座面のパッド厚をアップし、ヒップポイントを24mm高めたので、背の高い同乗者は快適だが、小柄な人は大腿部を押された感覚になりやすい。またシート座面のパット厚をアップしたためなのか、リクライニング機構が廃止され、ラゲッジルームも段差があり、完全なフルフラットにならなくなった点も見逃せない。しかし、シートが非常によくなった点を考えるとたいした問題ではない。
ボディサイドの上側に向けた絞り込みを大きくしたので、後席に座ると側頭部がルーフパネルに近付き、左右方向の圧迫感も強まった。着座位置を高めた影響もあり、乗降時には、先代型に比べて頭を大きめに下げる。
NAエンジンは車両重量とのバランスを考えると、動力性能が不足気味だ。ノイズも少し粗く、アイドリングストップの再始動音も静かにする余地がある。
最後にクルマ好きにとっては×なところは、RSグレード、MTがなくなったのは残念。開発者によればRSのMTは全体の3%しかなく、選択と集中という戦略上、致し方なかったという。
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