“e-POWER顔負け”のワンペダルドライブ
いっぽうで市街地を大人しく走る時は紳士的だ。電気自動車にありがちな高音域のノイズもなく、タイヤが路上を転がる時に発する音も遮断している。
アクセルの操作感覚は電気自動車らしい。アクセルペダルを戻すと、即座にモーターが発電を行って駆動用電池への充電を開始する。
そのために速度の下がり方が大きめで、エンジンを搭載した車両に例えれば低いギヤを選んで走る感覚だ。
ノートe-POWERのエコモードで感じるほど強い減速感はないが、市街地走行ではアクセルペダルで速度を細かく調節できる。慣れると運転がしやすく感じた。
乗り心地は『気持ち硬めだが上質』
乗り心地は少し硬い。装着されていたタイヤサイズが21インチ(245/35ZR21)であることも影響しているだろう。銘柄はミシュランパイロットスーパースポーツだった。
硬めでもタイヤが細かく跳ねずに路面に接している印象で粗さはない。上下に揺すられたり、床面が振動することもなく、硬めでも上質感が伴う。
カーブを曲がる時には2トンを超える車両重量を意識するが、車両の向きは操舵角に応じて的確に変わる。峠道でも旋回軌跡が拡大して曲がりにくく感じることはほとんどない。
危険回避を想定した車線変更を行っても、後輪が踏ん張って不安定な状態にはなりにくい。
後方視界は狭いが、同クラス比では標準的
ただしボディは大柄だ。全長は4979mm、全幅は1950mmに達して、ボンネットは見えるが混雑した街中では気を使う。
また、サイドウインドウの下端が高めで、後ろに向けて持ち上がる。斜め後方と真後ろは見にくい。インパネの中央に設置された縦長のモニター画面に後方の様子を映し、それを見ながら後退することになる。
後退は本来、後ろを見ながら行うものだから好ましくないが、今のLサイズカーはテスラモデルSに限らず、どれもこういう感じだ。
オートパイロットは実用性充分もきつめのカーブは少々苦手
走りの装備で注目されるのはオートパイロットだろう。センサーはフロントウインドウの内側にカメラ、ナンバープレートの下側にミリ波レーダー、車両の前後に超音波センサーが備わる。
操作は簡単で、ハンドルの脇に備わるレバーを手前に引くと起動して、押すとキャンセルされる。
車間距離の制御と操舵の支援があり、高速道路で試すと前者には充分な実用性があった。おおむね正確に追従して、先行車がいなくなった時は設定速度まで滑らかに速度を上昇させる。瞬発力の高い高出力モーターを搭載するから、反応が遅く感じてイライラする心配はない。
操舵の支援は高速道路を時速80〜100km/hで走る場合、300R程度のカーブまでは対応する。
さらに急なカーブでは制御を中断したり、舵角が大きくなり過ぎて内側に寄り、そこから戻る場面もあった。路上の白線が薄れたところでは、操舵の支援も途切れやすい。
それでも舵角が拡大しない高速道路では、違和感のない支援を受けられた。直進状態なのに白線を探るためにハンドルが左右に振られる動きは、皆無ではないが抑え込んだ。疲労防止の効果を確認できた。
運転支援だからハンドルを握ることが条件で、軽く保持していると警告されることもあった。その時は少し強く握ったり、わずかに左右に動かすと支援を続ける。
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