ホンダ初の量産EVであるホンダeは2020年8月27日に日本で正式発表され、10月30日から販売を開始する。
ただし、発表してすぐに第一期販売予定台数に達したということで、オーダーストップ状態となっている。オーダー再開については10月中には明らかになる模様だ。
ホンダeが注目を集めるのは、ホンダが造ったEVであることが大きい。注目度、話題性とも抜群のホンダeをレーシングドライバーの松田秀士氏が試乗。ホンダeはどんなクルマに仕上がっているのか? どんな魅力があるのか?
文:松田秀士/写真:HONDA、平野学
【画像ギャラリー】カタログを見ただけではわからないHonda eの詳細チェック!!
初対面で欲しいと思った
ホンダeを初めて見たのは東京モーターショーだった。ボクは、デザインだけではそれほど購買意欲がMAXになるタイプではない。
特にデザインは実車になるとコンセプトモデルとは大きく変わるものだからショーモデルのそれは信用できない。
しかし初見の時、コレは強烈に欲しい! と思ったのは、RRというメカニズムだったことだ。後輪駆動の、しかもリアモーター。そしてそのサイズ感だ。
どんなにドライビングが楽しいクルマなんだろう? いや、ホンダが造るんだからきっと楽しいに違いない。いろんなことを想像した。
そして今回ホンダeに一般公道で走る機会を得た。
ホンダeは抜群の小回り性能を持つ
楽しい。このことが本当にわかったのが、試乗会最後に用意された室内迷路での試乗。無数の段ボール箱を積み重ねて作った狭い迷路だ。
RR構造にしたことで余裕のできたフロントセクションと、操舵輪に駆動のためのドライブシャフトを持たない後輪駆動ゆえにフロントタイヤの切れ角が内輪50°/外輪40°と大きく操舵できるのだ。
これによってホンダeの最小回転半径は4.3m。ホイールベースは2530mmだからこれはスゴイ! 例えばN-BOXの最小回転半径は2520mmのホイールベースで、FFが4.5m(4WDは4.7m)だ。つまり軽自動車より小回りクンなのだ。
実際、一般道の試乗中に日産本社前の充電ステーションで写メを撮ろうと考え入ったが、イベント中のようだったのですぐに退散。このとき1回で180°向きを変えて出ていくことができたのだ。日産関係者やそのお客さんにはイヤなものを見せてしまった!
ホンダe のハンドリングは楽しい!!
さてその室内迷路。走り初めは慎重にステアリングを操作しながら巧妙にセットされた段ボールのコースをクリアしたが、すぐにその小回り性能に慣れどんどんスピードアップ。
体育館のようなスペースなので路面は滑りやすくABSが何度も入る。しかも驚いたのはリア駆動ゆえに、スピードアップすると適度にリアが滑り気持ちよく曲がるのだ!
一般の人にすれば、これはドキッとする挙動かもしれないが、滑ってクルマの向きが変わった時にESC(スタビリティーコントロール)が介入してクルマを安定させる。決してスピンするような挙動ではない。
チーフエンジニアの新家氏によると開発段階に雪上でESCナシでのテストを繰り返したという。
それゆえコスト的に有利なトーションビームなどにせず、4輪独立懸架のストラット式にしたのだという。
しかもステアリング方式はスポーツカーに採用されるタイロッド前引きだ(スペースの課題から一般的には後ろ引き)。前引きはストレスがかかったときのジオメトリー変化の影響を受けにくいのだ。
実際FFの場合はアンダーステアーによる対向車線はみ出しが事故原因のひとつでもあることを考えると、ニュートラルなホンダeのハンドリングは称賛できる。そして、楽しい。
小回り性能とハンドリングの実用性の高さ。買い物や通勤・通院といったシティコミューターとしての実力をしっかり見据えた設計であることがわかった。
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