ホンダe のハンドリングは楽しい!!
さてその室内迷路。走り初めは慎重にステアリングを操作しながら巧妙にセットされた段ボールのコースをクリアしたが、すぐにその小回り性能に慣れどんどんスピードアップ。
体育館のようなスペースなので路面は滑りやすくABSが何度も入る。しかも驚いたのはリア駆動ゆえに、スピードアップすると適度にリアが滑り気持ちよく曲がるのだ!
一般の人にすれば、これはドキッとする挙動かもしれないが、滑ってクルマの向きが変わった時にESC(スタビリティーコントロール)が介入してクルマを安定させる。決してスピンするような挙動ではない。
チーフエンジニアの新家氏によると開発段階に雪上でESCナシでのテストを繰り返したという。
それゆえコスト的に有利なトーションビームなどにせず、4輪独立懸架のストラット式にしたのだという。
しかもステアリング方式はスポーツカーに採用されるタイロッド前引きだ(スペースの課題から一般的には後ろ引き)。前引きはストレスがかかったときのジオメトリー変化の影響を受けにくいのだ。
実際FFの場合はアンダーステアーによる対向車線はみ出しが事故原因のひとつでもあることを考えると、ニュートラルなホンダeのハンドリングは称賛できる。そして、楽しい。
小回り性能とハンドリングの実用性の高さ。買い物や通勤・通院といったシティコミューターとしての実力をしっかり見据えた設計であることがわかった。
パワーに劣るベースモデルでも満足できる加速感
では一般道での試乗ではどうだったのか。
まず動力性能では今回カメラマン・編集者との3名乗車。2人ともヘビー級(80㎏前後)なのでなかなかの重量(筆者は58㎏)。
しかし発進も加速もまったく力強い。日産リーフのe+(62kWhバッテリー)ほどの加速力ではないが、約半分レベルの35.5kWhのバッテリー容量を考慮しても十分以上だ。
ホンダeにはベースモデルとAdvanceの2モデルが用意されていて、Advanceの154psに対してばベースモデルは136psとなっている。価格はベースモデルが451万円、Advanceが495万円と安くはない。
EVの場合エンジン車のように動力源であるモーターそのものを交換する必要はなく、電力をマネージメントするだけで出力を変更できる。ちょうどターボ車のブーストコントロールのようにだ。
特にモーターは高回転域の電力損失が大きいのでトランスミッションを持たないEVでは航続距離に影響する。
ベースモデルの航続距離は283㎞(WLTC)に対しAdvance は259㎞(WLTC)と、パワーはあるが短くなる。
しかし両モデルともに最大トルクは315Nmと同じ。つまり一般走行に重要な低速トルクはプログラミングで同じにできるのが電気系のスゴイところ。
実際の一般道試乗でベースモデルは、坂道を含めまったくAdvanceと遜色ない力感だった。最終減速比は9.545なのでちょうど5速ギヤオンリーで走っているようなもの。違うとすれば高速道路での追い越しぐらいだろう。
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