シビックタイプR リミテッドエディション200台完売! 「史上最高のホンダ車」試乗!!

シビックタイプR リミテッドエディション200台完売! 「史上最高のホンダ車」試乗!!

 2020年10月、2017年に登場したシビックタイプRがマイナーチェンジを実施。200台限定販売となる「リミテッドエディション」の試乗会が鈴鹿サーキットで行われた。

 ドライブしたのは、今年も全日本ジムカーナを制し20度目のチャンピオンに輝いた達人・山野哲也氏。さっそくその印象を訊いてみよう。

●シビックタイプRの主な改良点…フロントグリル開口部拡大とラジエター細部の改良でエンジン冷却性能アップ/フロントエアスポイラーの改良で空力性能をチューニング/2ピースディスクローターの採用でブレーキ性能を向上/前後サスペンションの改良で接地性、制振性を向上/ホンダ初のアルカンターラ表皮ステアリングを採用/シフトノブを丸形からティアドロップ形に変更し、操作性を向上

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※本稿は2020年11月のものです。試乗日:11月12日
文/山野哲也、写真/HONDA、ベストカー編集部、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』 2020年12月26日号


■恐るべき調整力と驚くべき進化 山野哲也、唸る……!

 結論から言うと、シビックタイプRは本当に素晴らしいクルマでした。開発陣の「走りをもっとよくしたい」という執念が余すことなく伝わってくるクルマでしたね。

 クルマ全体に緩みがなく、無駄な動きが適切に減っているんです。無駄な動きは詰めすぎると挙動がピーキーになるものですが、そうならないように適度に締められていて、その加減が絶妙なんですよ。

鈴鹿サーキット本コースを走ったのは200台限定のリミテッドエディション。新型シビックタイプRの究極の仕様だ
鈴鹿サーキット本コースを走ったのは200台限定のリミテッドエディション。新型シビックタイプRの究極の仕様だ

 例えば、前期型は縁石に乗ってスプリングが沈むと、その後の跳ね返りの量が大きく、揺れが残って動きが収束するのにも時間がかかりましたが、新型は一発で揺れが止まります。

 結果的にタイヤが路面に接地している時間が長くなり、安心して縁石に乗れて、よりイン側を走りたくなるクルマになっているわけです。

 サーキットを攻め込んでいる時にイン側に入れるのはいいクルマの証拠。ダンロップコーナーの上り区間もイン側にどんどん巻き込んでいけます。

防音材の削減とBBS社との共同開発による鍛造アルミホイールの採用で約23kg軽量化
防音材の削減とBBS社との共同開発による鍛造アルミホイールの採用で約23kg軽量化

 前期型は頑張ってリアをついてこさせているという印象で、フロントも若干重さを感じる動きをしていましたが、このあたりも新型は凄くよくなっています。

 フロントの動きが軽快になり、それにリアが自然についてくる感じ。まったく無理をせずフロントとリアのバランスが取れているんです。

 リアが無理していると「遅れてオーバーステア」が出るものですが、新型にはそれがない。リアの挙動をまったく気にすることなく、フロントだけに集中してドライブできます。

 これはラクだし安全。マイナーチェンジでここまで進化させるのは大変なことだと思いますよ。

専用タイヤのミシュラン「PILOT SPORT CUP2」を採用し、それに合わせてアダプティブダンパーシステムを専用にセッティングしている
専用タイヤのミシュラン「PILOT SPORT CUP2」を採用し、それに合わせてアダプティブダンパーシステムを専用にセッティングしている

 クルマ全体の動きが滑らかなのもいいところです。滑らかなのにオンザレールを崩さない。

 ガチガチに足を固めたクルマは、オンザレール感はあってもタイヤが路面を包み込むような感覚は出てきません。

 僕には「タイヤは路面を包み込まなければならない」という持論があります。

 タイヤはグリップ力を上げるのは簡単だけど、それだけではダメ。

 例えば路面に1cm四方の突起があるとしたら、その表面ではなくて周囲のサイド面を包み込めるのがいいタイヤなんです。

 シビックタイプRの走りはその理想を実現しています。タイヤが路面を包み込みながら、舵の向いた方向に素直に曲がろうとする。今までのホンダ車にはなかった感覚です。

専用色のサンライトイエローを採用し、ルーフ、ドアミラー、エンジンフード上のインテークなどに専用ブラック塗装を施している
専用色のサンライトイエローを採用し、ルーフ、ドアミラー、エンジンフード上のインテークなどに専用ブラック塗装を施している

 振動や跳ね返りがなく、滑らかにラインがトレースできる。ステアリングを切ると、クルマはどうしても反発しようとするものですが、その反発する力を包み込むように曲がっていきます。

 ボディの沈みこみも滑らかで、違和感をまったく感じません。クルマが今、どうなっているかを気にしなくていいのに限界性能は凄く高い。これはなかなかできるセッティングではないですよ。

高いポテンシャルを誇る直4、2L VTECターボは変更なし。320ps/40.8kgmを発揮する
高いポテンシャルを誇る直4、2L VTECターボは変更なし。320ps/40.8kgmを発揮する

 ブレーキもよかったです。高速域からのフルブレーキって、ブレーキペダルを踏んでパッドがローターをつかんでから制動力が出るまでけっこう時間がかかっているものです。

 その間にスプリング、ダンパー、ブッシュ類など動く可能性のあるものが動きまくっていて、落ち着くまでのコンマ何秒かは制動力が出ない。

 ところがこのクルマはブレーキを踏んだ瞬間に制動力が出ている感覚で、イメージしている制動距離よりもかなり短い距離で減速できます。

 最初はヘアピンのちょうどいいところで踏んだつもりだったのが手前すぎたほど。このブレーキの進化も素晴らしかったですね。

ブレーキには熱倒れ抑制に効果的な2ピースディスクローターを採用
ブレーキには熱倒れ抑制に効果的な2ピースディスクローターを採用

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