■作り手の意志が伝わってくる
マイナーチェンジでここまで進化させられたのは、どこをどう変えればよくなるかを正確に特定できたからでしょう。
コンピュータでの解析技術が進化し、シミュレーターの技術も上がっていて、その効果もあったとは思いますが、その現象が実際にどう起こっているかは走り込まないとわかりません。
ここを変えたらどうなるかを見つける走り込みの量は相当なものだったと思いますよ。
一部のパーツやセッティングの変更でここまでよくなることを発見した開発陣の執念がクルマから伝わってきますよね。そこを見つけ出してやろうという作り手の気持ちを感じることができます。
僕もこれまでたくさんのクルマに乗って、テストもしてきましたが、ここまで作り手の明確な意志、こういうクルマを作りたいという意志を感じることはあまりなかったです。
一部のドイツ車はそうした強い意志を感じることがありましたが、ここ10年ではこのシビックタイプRが間違いなく一番です。このクルマの開発陣はベース車を変えずに、ここまで進化させられることを証明しましたね。
過去最高のタイプRだと断言できます。
エンジンは前期型と変更なしですが、もともとポテンシャルの凄く高いエンジンだったから不満はありません。
3500回転あたりでトルクのピークに達するんですが、それがレブリミットまでずっと続く印象です。
普通、4速、5速にシフトアップすると加速感が鈍るものですが、勢いがまったく衰えず、鈴鹿のストレートエンドでは235km/hくらい出ていましたが、余裕たっぷり。まだまだ加速できる力がありましたね。
あと、丸形からティアドロップ形状に変えたシフトノブもよかったですね。手の平にシフトノブが自然になじんでいて、握っている感覚がないんです。
そこを意識しなくていいというのはドライバーにとっていいこと。シフトフィール自体は前期型からよかったし、このへんの改良も走りの質感向上に効いています。
とにかく、新型シビックタイプRの進化は素晴らしいものでした。歴代最高のタイプRだということは、史上最高のホンダ車ということですよね。素晴らしいクルマで感動しました。
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今回乗った「リミテッドエディション」は国内限定200台があっという間に完売。
山野氏を感動させたクルマを新車で購入することはもうできないが、ベースのシビックタイプRも、もちろん「リミテッドエディション」と同じように進化させているというから楽しみだ。
●シビックタイプRリミテッドエディション
・全長×全幅×全高:4560×1875×1435mm
・ホイールベース:2700mm
・最小回転半径:5.9m
・車両重量:1370kg
・エンジン:直4DOHCターボ
・総排気量:1995cc
・最高出力:320ps/6500rpm
・最大トルク:40.8kgm/2500-4500rpm
・トランスミッション:6速MT
・WLTCモード燃費:13.0km/L
・サスペンション(F/R):マクファーソン/マルチリンク
・タイヤサイズ:245/30ZR20
・価格:550万円(完売!)※カタログモデルのシビックタイプRは475万2000円
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