■速さだけでなくハンドリングも第一級
お断りしておかなければならないのは、私がテストしたコスモロータリーターボはピレリP6の205/60HR15を履いていた。
このイタリアの名品はコスモターボのフットワークをしなやかですばらしいものにしてくれたが、この60%タイヤの装着は役所の認可の関係で、遅れてしまうのが残念だ。
40%近いトルクの増大にもかかわらず、ロータリー・ターボコスモの足回りは大きな変更を受けていない。それにもかかわらず、ロータリー・ターボコスモのハンドリングはピレリP6を得て、第一級のものになった。
これはターボのうまいコントロールとあわせて話しをする必要がある。このターボは2000回転あたりから強力なトルクを発生し始めるが、そのつながりはとてもスムーズだ。
さらに、一度スロットルを閉じて、コーナーのアペックスを狙い、再びスロットルをガバッとばかり開けた時のターボのつながりが実にいい。もちろんターボラグは存在するが、ドライバーに焦燥感を与えるものではない。
逆にコーナーリング中、例えば3速でスロットルを深々と踏み込んでいくと、どんどんトルクが湧いてきて加速し、さしものP6もパワーオーバースティア気味になってしまう。
200km/hオーバーの直進安定性はBMWやベンツに比べるともう一歩だ。これほどのクルマならば、もう少しドンとしていてほしい。
■スタイリングに注文がある
すばらしく速く、ファントゥドライブなロータリーコスモをどう評価したらいいだろう。いかにロータリーターボとはいえ、0.32のCd値の力を借りなければこれほどの動力性能は記録できなかっただろう。それを知りつつ、私はコスモのスタイルに少なからず疑問を持っている。
動力性能と高いハンドリング性能に見合う美しいスタイリングをGTカーに求めてしまうことは欲張りすぎというものだろうか。
それはともかく、このコスモロータリーターボをできれば100kgほどストリップダウンさせられないか、もっと走りに徹したモデルにできないか、そんなモデルがあってもいいと思う。
ソアラに始まった国産車の高性能化は、驚嘆するレベルにある。これからもどんどん高性能なクルマが出現するであろう。
私は、これらの高性能車を技術的に精神的にコントロールできるよう自分を鍛えておく必要性があることを痛感している。
◎マツダ コスモ2ドアHTGTターボ 主要諸元
全長:4640mm
全幅:1650mm
全高:1340mm
ホイールベース:2615mm
車重:1145kg
エンジン:2ロータリーターボ 573cc×2
最高出力:160ps/6500rpm
最大トルク:23.0kgm/4000rpm
トランスミッション:5MT
10モード燃費:10.2km/L
価格:188万2000円
※グロス表記
コスモ2ドアHTGTターボ 本誌テスト結果
0〜400m:15秒16
0〜100km/h加速:7.7秒
最高速:211km/h
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