2020年10月、トヨタは超小型EV C+pod(以下、シーポッド)の発売をアナウンス。翌2021年にはC+walk T(以下、シーウォークティー)が発売された。シーウォークティは歩行領域での新たなモビリティとして誕生した3輪EVである。
超小型モビリティとして誕生したこの2台は、果たして将来の公共交通インフラとして人々の足となり得るか、試乗レポートとともに考察したい。
文/御堀直嗣、写真/佐藤正勝、TOYOTA
【画像ギャラリー】新たなモビリティのカタチ!! トヨタの超小型BEV「C+pod」「C+walk T」(24枚)画像ギャラリーシーポット試乗! トヨタが開発した超小型EVの実力はいかに?
トヨタは、2020年から2021年にかけて、相次いで軽自動車より小さな移動車両を発表した。一つは、2人乗りの超小型モビリティであるC+pod(シーポッド)だ。これは法人や自治体などへの限定リース販売からはじめ、2022年に一般消費者へも拡大販売の予定である。
もう一つは、1人乗りの歩行領域で使うC+walkT(シーウォークティー)だ。これは10月から販売店で売り出し、またトヨタレンタリースでも扱う。これら導入の狙いをトヨタは、すべての人が自由に移動できる、よりよいモビリティ社会の実現へ向けた取り組みと位置付けている。
シーポッドは、車体寸法が全長2.49m、全幅1.29m、全高1.55mで、軽自動車規格の全長3.4m、全幅1.48m、全高2.0mと比べても大幅に小さく、ことに全長の短さが際立つ。2名乗車の座席の後ろはすぐリアゲートであり、運転席から振り向くと背中が車両の後端といった印象だ。
モーター駆動の電気自動車(EV)である。9.06kWhのリチウムイオンバッテリーを車載し、一充電走行距離はWLTCで150km。最高時速は60kmまでと制限されており、自動車専用道路や高速道路は使うことができない。都市高速では時速60kmの速度制限区間もあるが、入ることはできず、一般公道のみでの利用となる。
超小型モビリティの一つのひな型として、日常の用途でどのような走りを期待できるのか。機構をできるだけ簡素にし、価格を下げながら、移動の自由を満たすため、パワーステアリングやブレーキ倍力装置は装備していない。それでも、ハンドル操作に特別な腕力を必要としたり、減速がなかなかうまくいかなかったりということはなかった。あらかじめ知っておけば問題ない。
一般公道で時速60kmまでの走りを想定しているので、アクセルペダルをいっぱいに踏み込んでも、猛然といった加速はしない。それでも交通の流れには充分乗れる加速性能を備えている。しかしモーター特有の回生をあまり利かせていないので、回生を積極的に採り入れれば、より速度調整や減速を滑らかにできるのではないかと思った。
窓はスライド式で、手で上下に移動させて開け閉めする。低い速度のうちは車両接近警告音が車内に入り、それ以上となるとタイヤ騒音などが室内に届いて、走行中はけっこううるさい。軽自動車を含めたクルマという印象はないに等しい。それでも雨にぬれず気軽に近所まで行くには便利だろう。空調も装備されているが、スイッチを入れたら、走行可能距離は半減した。
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