ご存じ、ロシアによるウクライナ侵攻という蛮行の真っただ中という状況が続いています。先進国が「まさかそこまでやらないだろう」と予測するなか、そこに踏み切った体質に驚くが、ロシアとはいったい全体どういう国でどういうカルチャーなのか? そこであえて今、貴重な日本在住のロシア車に乗ってみることにした。協力を願ったのは激レア欧州車の直輸入販売で有名な東京・千駄ヶ谷のショップ、『ルパルナス』さんだ。
ロシア産のクルマはどんな具合なのか? え、最近売れてるって本当ですか? そして何より知りたい、今ルーブルで決済ってできるんでしょうか……???
文/小沢コージ、写真/ベストカーWeb編集部、平野 学、フィアット、取材協力/ルパルナス
■今あえてシーラカンスなロシア車に乗る!
「今はワズやラーダ4×4、初代フィアットパンダや新車のシトロエン2CVなどプリミティブなクルマにフォーカスしています。世界的にクルマの電動化が進むなか、今乗らなければいつ乗るの、今でしょって話ですね」(輸入元ルパルナス談)
今のロシア自動車市場は乗用&商用&トラック含めて年間約160万台前後で世界10位というそこそこな規模。驚かされるのは他マーケット同様、日本、韓国、ドイツなど海外グローバル勢が参入するなか、地場ブランドが頑張り続けていること。
筆頭は創業1966年で2014年には日産ルノーアライアンス傘下に入ったロシア最大の自動車メーカー、アフトワズの「ラーダ」ブランドだ。
モスクワから東に約1000km行ったヴォルガ川沿いトリヤッチを本拠地とし、創業当初はVAZ(ヴォルガ自動車工場)という、BMW(バイエルンモーター工場)みたいな社名だった。
■匂いは新車でもデザインは1970年代!
その代表作が今回乗った本格クロカン4WDのニーヴァだが、実に今から45年前の1977年に生まれた現代版「走るシーラカンス」でもある。この手の四駆は一般車以上にプロ向けや軍用で愛用されるため、ロングセラーは当たり前。3代目スズキジムニーは20年間、有名な初代メルセデスベンツGクラス(ゲレンデバーゲン)などは1979年から39年後の2018年まで作られていた。
しかし、ロシア車は「シーラカンス度」で西洋的常識を上回っており、今回乗った最新型ニーヴァレジェンドの基本設計は45年前! 塗装や車両の匂いは新車なクセして、デザインや装備品は1970年代後半という不思議な時代錯誤感に萌える。
同時にコイツが今も年30万~40万台レベルで作られ、現地周辺で消費されているのも驚きで、このタイムスケール感と規模はロシアならではだ。
一方、ニーヴァレジェンドには着実にルノー日産の技術が移植されており、インパネデザインは小沢が5年ほど前に乗ったニーヴァとビミョーに異なっている。パワーウィンドウスイッチはルノー車と同じだし、マニュアルエアコンのダイヤルもルノーっぽい。ルパルナス担当者によれば「操作系なんかもいろいろ滑らかになってます(笑)」とか。
とはいえ乗りこんだニーヴァレジェンドからは記憶を呼び覚ます1970年代の香りであり、古きよきフィアットの香りが漂ってくる。
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